ディレクター散る。
えっと、特に散ってはいないんですけども。
コットンリブートプロジェクトもいよいよ大詰めです。組み込みや実装はもちろん終了しておりますが、でもまだ時間が無くなったわけではない! あるわけでもないけど、できることはまだまだある……はず! といった感じでディレクターを中心に、作り込みの最終段階である、その名も「最終段階調整」を行っていたりします。
思い起こせば長いようで短かった開発期間……などと言ってはいろいろな方々に怒られそうですが、今回はもう、あれこれ詰め込ませて頂いたぶん、端々にはまだ調整できる余地がけっこう残っていたりします。
そしてそういった部分を一つ一つあげつらっていくと大体の場合、これが思いのほかの工数であることが多く、もちろん例外ではなかった今回もまた、あちらこちらをあーでもないこーでもないとしつこくいじくりまわしたりしているわけです。
でもこれ、とっても大事なことですよね。いくら時間をかけて一生懸命作っても、最後の最後でミスったら台無しですから。画竜点睛を欠くとも言いますように、こと、ゲーム開発においてはこういったところでの対応がモノを言ったりするわけであり、だからこそ、最後の残り一秒に至るまで、あれやこれやとこだわりたくなってしまうのです。
そしてこれは同時に危険でもあります。ゲーム開発者とは得てしてそういうものとは思うですけど、もう、なにかにこだわり始めるとキリとかいうものがなく、あそこの敵の出現位置がおかしいとか、この音はもっと高域を強くすべきだとか、あの敵の角の位置はもう1ドット左だ! とかもう、もはやこだわりというよりも呪いのような……もうなんでもかんでもが疑わしく思えてきてしまって、みんなしてギシンアンキに陥ったりそうでなかったり。
そのうえ、時間切れは明確に目前にせっておりますから焦る。いつもよりも強い焦りがある。この期に及んで遅らせるなど、絶対に許されませんからね。しかるにこれは調整というよりも、悪あがきをしている感覚と、そう言ったほうが平明なのかもしれません。
だからこそディレクターが大きな声で「もう終わり!」をどこかで宣言しないといけないんですけどね。大体において、そんなに大事なことならどうしてもっと前から余裕をもって臨まないのかと言われそうですが、経験上、ないのはいつも時間のほうではなくて、スタッフの持つこだわりの際限のほうなんです。いくら時間があったところで可能な限りよいものにしたくなってしまい、必ず最後の最後まで、なにかやりたくなってしまう。やりたいことは山ほどあれど、ほんとにキリがない……。
そんなこんなでコットンリブート、最後の残り一秒に至るまでなにかしら手を入れていると思います。
でもこの作業、とっても楽しいのですよね。ものが良くなるのは本当に楽しいです。
などとディレクターが一緒になって絵を描いてたら、ホントに散ると思いますけど。
2020.11.21