NEO GEO開発秘話 ~哀愁編~

アルファ電子コラム第17回のカットです

どんな発注にも要望というものが必ずあります。
そして要望には優先順位というものがあります。
NEO-GEOの場合、その優先順位の第1位は……
今回の『知られざるアルファの世界』はそんな想い出語りです。

◆ 鳩野さんにもうちょっと聞いてみました! ◆

・低価格が前提というのはアルファ電子とSNK、どちらからの案でしょうか?

低価格はSNKからの条件でしたね。
価格面とサウンドの良さは、とにかくマストという要望でした。

・回転や拡大・縮小といった機能はナムコのシステムII基板(1988年~)が有名ですが、ハード仕様の設計段階でその影響はあったと思いますか?

多分にあったと思います。
ナムコとセガのハードは当時、ハード課の方たちもチェックされていましたから。

・なぜ縮小機能だけが搭載されることになったのでしょうか?

拡大機能はドットが荒くて汚いだけなので不要だが、縮小はいろいろと細かな演出に使えそう、というのが縮小だけが残った理由です。
ちなみに、あらかじめ縮小状態のものが拡大しているかのように見せる演出の事を、アルファ電子では『縮小元戻し』と呼んでいました。『拡大』とは呼べないですからね。

・縮小機能は『ニンジャコンバット』でかなり使われていますが、そのほかのタイトルで縮小機能をよく使ったなと感じたタイトルは?

アルファ電子では『ラギ』、SNKでは『サムライスピリッツ』だと思います。
『ラギ』はキャラクターの縮小を任意に行える等、ゲーム性に直結する形で使用されていますし、住人とのアドベンチャーパートでは縮小機能を必ず使っていますからね。
『サムライスピリッツ』はキャラクターが離れるとキャラクターと背景全体に縮小が掛かります。『龍虎の拳』以上にダイナミックな使い方ですよね。

・もし初期設計どおりに回転や拡大機能があったとすれば、アルファ電子のゲームは大きく変わったと思いますか?

個人的には変わったと思います。
おそらく回転機能ありきのゲームが世に送り出されていたでしょうね。
他社との企画競合をとことん避ける社風でしたから、かなり風変りなゲームになったんじゃないかと。

 

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著者紹介
鳩野 高嗣 (はとの たかし)

フリーランスのゲーム制作者・グラフィッカー。 タイヨーシステム(カルチャーブレーン)~アルファ電子(ADK、フォンキャスト)~TENKY~dropといったキャリアを経て、現在に至る。
アルファ電子には1986年から2001年まで在籍しており、同社の黄金期から末期までの歴史・実情を知る人物である。 関わった作品は『ラギ』『痛快GANGAN行進曲』『ワールドヒーローズパーフェクト』『テニスの王子様-SWEAT&TEARS-』シリーズ、『マイネリーベ2』など多数。

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