毎度、名作ゲームを紹介する連載コラム『髙橋ピョン太のおニューもレトロも』の第15回は、1988年4月28日に発売されファミリーコンピュータ用のゲーム『キャプテン翼』を起源とする、テクモ(現:コーエーテクモゲームス)の素晴らしきサッカーゲーム『キャプテン翼』の世界についてガッツの続く限り語りたいと思います。
『キャプテン翼』は、集英社の『週刊少年ジャンプ』1981年18号より連載が開始された高橋陽一さんによるサッカー漫画です。いちいち説明するまでもない世界的に有名な漫画だとは思いますが(この後も説明しまくります)。その漫画を原作とするゲームがテクモの『キャプテン翼』です。漫画の連載は1988年22号でいったん最終回を迎えますが、奇しくもゲームは(たまたま開発が延びて)漫画終了の時期に重なるように発売されました。
ファミコン用のゲームなので地味ですけど、『キャプテン翼』という文字にワクワクしました。
今でこそ日本のサッカーとサッカー選手は世界に通用するレベルの高いものになり、人気のある競技になりましたが、『キャプテン翼』が流行る前と後の日本人のサッカーに対する興味の度合いは、それはもう大きく異なるものでした。
『キャプテン翼』は、サッカーに情熱を注ぐ主人公・大空翼とライバルたちの成長を描いた少年漫画です。幼少期から「ボールはともだち」が信条の翼くんは、静岡県南葛市(架空)へ引っ越し、天才ゴールキーパー若林源三や元ブラジル代表のロベルト・本郷と出会います。
南葛小に転校した翼くんは、ロベルトの指導のもと岬太郎や石崎了とともに猛特訓をして、同地区のライバル校であり一度も勝てなかった修哲小の若林くんらに挑み、勝利を収めます。その後、若林くんとは南葛市選抜として全国大会を目指すことになり、日向小次郎や三杉淳、立花兄弟ら全国の強敵と対戦。小学生ながらも全国は(漫画ならではの)すごい選手だらけの世界。立花兄弟の「トライアングルシュート」「スカイラブハリケーン」などなど、アクロバティックな空中戦プレイ・必殺技を、翼くんと読者は目の辺りにするのです。それでも南葛市選抜は、白熱の試合を繰り広げた末、優勝候補だった明和を破り全国制覇を果たします。
大会後、ロベルトはブラジルへ帰国し、若林くんや岬くんも世界へ旅立ちます。翼くんは引き続き国内で中学生大会やJr.ユースで活躍するのですが、翼くんも国外へと活躍の場を広げていく決意をし、最後は翼くんがブラジルへ旅立つところで漫画(1回目)の連載が終わるのでした……。
『キャプテン翼』の連載が開始された1981年の頃は、日本のサッカーは日本サッカーリーグ(JSL)というリーグで社会人チームのリーグが主体でした。ちなみにJリーグが発足するのは1992年です。当時の多くの少年たちの好きなスポーツはほぼ野球で、ちまたはプロ野球選手好きの野球少年だらけでした。サッカー自体の競技人口は少なくなかったのですが、日本のサッカー人気はメキシコ五輪のサッカー競技で銅メダルに輝いた1968年をピークに人気は低迷し続け、この時期は冬の時代でした。JSLは当時、明石家さんまさんなどサッカー好きの著名人を使っていろいろPRをします。たとえば、明石家さんまさんと銅メダリストの釜本邦茂さんは、「日本のサッカーに貢献できるなら」という理由からポスターでヌードを公開するなど、まさに一肌脱ぐのですが、話題こそなりましたがサッカーの人気はあまり変わらずにいました(試合の観戦者がほぼ関係者とサッカー経験者だけの日々)。
そんな時代背景の中、漫画『キャプテン翼』は連載後すぐに人気の漫画となり、1983年にアニメ化されると日本国内でサッカーブームを起こし、それと同時にサッカーそのものに憧れるサッカー少年をたくさん生むことになりました。事実、のちのJリーガーの中には、子供の頃に『キャプテン翼』を読んでサッカーを始めたという人も多く、そればかりか世界中の多くのサッカー選手達にも影響を与えるほど偉大な作品となりました。
そして、日本のサッカー界はプロリーグとしてJリーグが発足されるまでに成長していくのはいうまでもありません。1992年のJリーグ発足を機に、日本のサッカー人気の高まりはますます大きなものとなり、、1994年から1997年までFIFAワールドユース選手権での活躍を描いた『キャプテン翼 ワールドユース編』が連載されることになります。そして、皆様ご存じの通り、『キャプテン翼』は派生作品も含め2025年現在も継続しており、最新作『キャプテン翼ライジングサンFINALS』は、シリーズ最終章として“ネーム形式”でWeb「キャプテン翼WORLD」にて連載公開中です。『キャプテン翼』は、日本国内でのコミックスのシリーズ累計発行部数は9,000万部以上というのですから、すごすぎますよね。
漫画『キャプテン翼』はそれだけすごい人気であり万人に愛されてきたということがおわかりいただけたと思いますが、テクモはそんな読者のすべての思いを背負いながらファミリーコンピュータ用ゲーム『キャプテン翼』の開発に挑んだのです。きっととてつもない重圧の状況下での開発だったことは、想像に難くありません。
家庭用ゲーム機の世界では、実はテクモの『キャプテン翼』が1988年4月28日に発売されるまでは、これといったサッカーゲームがありませんでした。
やっぱり原作のキャラクターが思いっきり登場してくれるのがいいですね。
もっとも、リアルなサッカーが表現できていたゲームは、アーケードゲームではアルファ電子の『エキサイティングサッカー』(1983年)やテーカン(現:コーエーテクモゲームス)の『テーカン ワールドカップ』(1986年)が有名で、すでにあったのですが、当時のハードウェアスペックでは、現実のサッカーのような雰囲気を体感することができるサッカーゲームを作ること自体、難しかったのです。ちなみにサッカーゲームの元祖といわれているタイトーの『サッカー』(1973年)は、PONGの亜流で厳密にはサッカーゲームとはいいがたいものでした(それでも面白くて、遊びまくりましたが)。
そんな時代に、漫画『キャプテン翼』の世界を体現したサッカーゲームを作ることは可能なのか、ゲーマーの間では興味津々でした。当時、原作のある人気キャラクターゲームはだいたい面白くなくどれも失敗していたので(自分も失敗作を作ったことがある)、我々も親心のような気持ちで見守っていました。
何度もいいます。そんな状況下でできあがったのが、1988年4月28日に発売されファミリーコンピュータ用ゲーム『キャプテン翼』です。ゲームは、翼くんが所属する南葛中学校イレブンを操作する全国中学生サッカー大会と、翼くんらが選抜された全日本Jr.ユースがフランスで開催される国際Jr.ユース大会で優勝を目指す二部構成のストーリーに仕上がっていました。
第一部は、全国中学生サッカー大会。第1試合、なんかつVS.にしきがおか。
第二部は、国際Jr.ユース大会。翼くんは全日本Jr.ユースで参加。
そしてゲームは、なんとリアルタイムで選手を操作するアクションゲームではなく、試合がまるでテレビの実況中継のように進行する中で、攻撃時は「ドリブル」「パス」「シュート」、守備時は「タックル」「パスカット」「マーク」、キーパーは「パンチ」「キャッチ」といったコマンドを入力する方式のゲームでした。スポーツゲーム史上、類のない方法でゲームを進めるシミュレーション要素の強いサッカーゲームになっていました。「パス」や「シュート」のコマンドでは、主要キャラクターは必殺技が出せるようにもなっていました。なるほど、これなら漫画やアニメの世界観を崩さずにサッカーの試合もできるじゃないですか。
ここは「パス」を選択。
「パス」を選択すると、フィールドの誰にパスをするかの選択になる。良き場所と選手を選ぼう。
コマンドが成功すると、選択相手にパスが通ります。
守備時は、タイミングで1対1や1対3などまちまち。コマンドは選手ごとに指示。
キーパーのコマンドは「パンチ(パンチング)」または「キャッチ」。
このコマンド方式は、画期的です。この方法なら「ドライブシュート」や「バナナシュート」はもちろん、立花兄弟の「スカイラブハリケーン」「スカイラブツインシュート」など、アクロバティックな空中戦プレイも繰り出せるのです。そして画面もまた、テレビアニメのように必殺技を演出してくれるため、原作の漫画やアニメのまんまの世界観に浸れるわけです。これほどまでに原作気分が味わえるなんて、想像以上でした。
主要キャラクターは必殺シュートなど、それぞれの持つ必殺技コマンドを繰り出すこともできる。
翼くんのドライブシュートは、かなり攻撃力の高い必殺技。
立花兄弟のスカイラブハリケーンのような空中戦技は、『キャプテン翼』ならではの演出。
敵としての立花兄弟は怖い。こんな技をやられてしまうが逆に見とれてしまう。
コマンド入力によるサッカーゲームは、リアルタイムゲームのような操作テクニックや反射神経が一切不要であり、アクションゲームが苦手な人も、まんま『キャプテン翼』の世界観をいとも簡単に実現させることができます。また、ゲームはRPG的な要素が取り入れられています。各選手にはレベルがあり、選手たちは試合を重ねていくうちにレベルが上がっていき、ドリブルやシュート、パスなどの能力値がアップしていきます。初心者でも繰り返し試合をすることで、いずれ強豪チームにも勝てるようになります。これもまた素晴らしい工夫でした。ゲームが苦手な人も『キャプテン翼』の世界観を誰でも体験できるのですから、これほどまでに優れたキャラクターゲームはまれなのではないでしょうか。
シュート力の高い選手のシュートはネットを破り、いとも簡単にゴールを決めてくれます。
レベルが上がった選手たちは、西ドイツにも余裕で勝てそうです。
コマンド入力後、そのシュートは決まるのか、あるいはドリブルで相手をかわせるのか、守備においては相手のボールを奪えるのか、敵のシュートを防ぐことができるのかなど、勝負の結果は選手の能力値などで決定されます。また、各選手にはガッツというパラメーターがあり、選手は何かしらの行動することでガッツを消費するのですが、ガッツのある限り必殺技などを出すことができるのですが、ガッツがなくなるとシュートすらできなくなります。これを『キャプテン翼』では「くっ!! ガッツがたりない!!」と表現しているのですが、この時期「ガッツがたりない!!」という言葉はゲーマーの間で流行り、その後もAAやネットミームとして使われるようになりました。
『キャプテン翼』の名言「くっ!! ガッツがたりない!!」。選手を効率よく使わないとガッツは枯渇します。
『キャプテン翼』の第一部は全国中学生サッカー大会。全8試合を勝ち抜かなければなりません。大会で優勝し、そして東邦学園高等部との練習試合に勝つことで、いよいよ舞台は世界となります。第二部のフランス国際Jr.ユース大会では、第一部で翼くんの前に立ちはだかったライバルたちとともに全日本Jr.ユースとして、世界の強豪に挑みます。ゲームは、メンバーチェンジも加わって、本格的な試合がはじまります。
選手が必殺シュートを打てばブロックに入った相手選手を吹き飛ばしたり、強烈なシュートはキーパーを吹き飛ばしたり、ゴールのネットをも突き破ります。『キャプテン翼』では、心なしかネットが敗れる回数が多い気もしますが、これこそが『キャプテン翼』という漫画の持つ世界観であり、読者かつゲーマーである我々も満足する演出であり、爽快感すら感じる良きサッカーゲームなのです。いやー、テクモさんやってくれましたねーと感心する名作ゲームだったのです。
こうして成功をおさめたゲーム『キャプテン翼』は、1990年7月20日に続編となる『キャプテン翼II スーパーストライカー』を発売します。プラットフォームは、前作と同じファミリーコンピュータです。
『キャプテン翼II』もファミコン向けだが、グラフィックのクオリティが少し上がっている。
『キャプテン翼II』の翼くんは、南葛中で全国中学生サッカー大会V3を達成したあとで、全国大会ではライバルだった日向くんや若島津くんともに全日本Jr.ユース選抜で国際Jr.ユース大会で世界一の栄冠に輝き、さらに3年たった時代を描いています。ゲームのストーリーはテクモのオリジナルで、前作の『キャプテン翼』をベースにして作られました。
そして『キャプテン翼II』では、フィールドが前作の縦方向が横方向に変わりました。従来は、攻撃は上方向に向かって攻めましたが、『キャプテン翼II』からは右方向に向かって攻撃をします。
『II』ではフィールドは横型、プレイヤーは画面右方向に攻めます。
また、チームのフォーメーションやディフェンスタイプを選ぶことができます。
チームの傾向をよりリアルに設定することが可能になりました。
必殺技も、必殺パス、必殺シュート、必殺ドリブル、コンビプレイ(ゴールデンコンビやジェミニアタック)などバリエーションが豊富になったほか、各種コマンドも「ワン・ツー・リターン」「トラップ」「スルー」「クリア」など、よりリアルなサッカーが展開できるように大幅に変更されています。ただし、操作性や試合感は変わっておらず、相変わらず『キャプテン翼』の世界観を感じることができます。いうなれば、サッカーの試合がより本格的になったといえるでしょう。それでいて、『キャプテン翼』ならではの空中戦も大幅に増えています(笑)
『ワン・ツー』コマンドで、パス回しもリアルに。
ゴール前では「スルー」コマンドもありかも。
『キャプテン翼II』は、相手もよく吹っ飛びます。
このようにキーパーもよく吹っ飛びます。
また、『II』にはロスタイムがあります。『I』は残りタイム0秒で試合は終了しますが、『II』は0秒過ぎてもワンチャンありますから、諦めずに最後まで攻めたいですね。そのほかにもコーナーキックや選手の交代など、これサッカーがよりリアルになる要素が豊富にあります。
決勝でブラジルは、ブラジルチームの隠し玉を登場させてきます。
そう、コインブラくんの登場です。
『II』は最初から最後まで敵や選手自身が強豪だらけですが、日本の選手も成長していますから、あまり心配はいりません。それよりもよりリアルにサッカーの試合をプレイしているような感覚が味わえて、サッカーファンはより心地よく楽しく試合を堪能できるようになったのではないかと思います(主観ですが)。
仕上がっている翼くんだって、なかなかすごいです。。世界に通用します。
『キャプテン翼II』の発売から2年がたち、世のゲーム機はスーパーファミコンの時代へと移行していくのですが、1992年7月17日発売の新作『キャプテン翼III 皇帝の挑戦』もまた、しっかりとスーパーファミコンへ移行します。『キャプテン翼III 皇帝の挑戦』は、『I』『II』をより強化した『キャプテン翼』といってよいでしょう。
『キャプテン翼III 皇帝の挑戦』で、プラットフォームがスーパーファミコンになりました。
『キャプテン翼III 皇帝の挑戦』は、ストーリー序盤では翼くんはブラジルのサンパウロFCに所属し、リオカップ優勝を目指します。もちろん相手はブラジルのリーグチームなんですが、いきなり舞台は強豪チームがひしめき合う世界です。一方、翼くんとともに世界を相手に戦った日本の仲間たちは、世界各地に散らばり、それぞれの実力に磨きをかけながら同じく世界を相手に戦っています。彼らは、なぜかドイツの選手を相手に戦っています。かつてワールドユースで激突したドイツ代表の選手たちが続々と現れるのですが、そんなストーリーを楽しみつつ、中盤以降は翼くんも全日本として集結し、ユニバーサルユースに挑んでいくことになります。
『III』は、画面自体もよりリアルになり、そしてカラフルになりました。BGMや効果音もよいです。
『キャプテン翼III』は『I』『II』を遊んでいないゲーマーも気軽に楽しめるストーリーといってもよいでしょう。スーパーファミコンらしく、グラフィックやサウンドが大幅に改善されています。また、今作にはALL STARモードが搭載されており、自分の好きな選手を選んでチームを組み、他のプレイヤーやCPU相手に対戦が可能になっています。もちろん操作性などは前作同様です。
『III』ももちろんコマンド入力方式。スーファミになっても操作性やゲームのコンセプトは変わらず。
必殺シュートなどの演出は、ちょっぴりアニメに近づくことができたのかも。
相手が最初からブラジルのチームというのも、『キャプテン翼』ファンはうれしいかも。
ここまで絶好調で飛ばしてきた『キャプテン翼』シリーズは、もはやテクモのお家芸的なサッカーゲームとして世間には認知され、その続編を待望するユーザーも多くなりました。そんな中、1993年4月3日に『キャプテン翼IV プロのライバルたち』が発売されます。サブタイトルの「プロのライバルたち」は大人気のJリーグを意識したタイトルにもなっていました。そして、『キャプテン翼』の世界観も若林くん以外の日本人選手も続々とプロの世界へと進みました。
『キャプテン翼IV プロのライバルたち』は、さらに洗練された印象です。
『キャプテン翼IV プロのライバルたち』では、各試合の結果によってストーリーが分岐していき、プレイヤーの進行の仕方で最終的にエンディングも変わるなど、新たな世界観が楽しめるゲームになりました。また、自分好みの選手をエディットできるモードも加わり、ますます没入できるゲームになりました。演出もアニメに近いほか、ゲームも時々音声が再生されます(本当に時々ですが)。試合自体の実況中継もよりリアルになりました。つまり、前作よりも感情移入がしやすくなった印象です。
グラフィックも描き込まれていますが、誇張した演出が少なくなったように感じます。
キーパーのシーンも現実のサッカーを見ているような演出です。
得点表示や残り時間の表示もテレビ中継のような印象が強くなりました。
必殺シュートは漫画ライクですが、選択画面もまた落ち着きました。
演出も地味というよりは、やはり落ち着きました。
ゲームの進行やプレイ感は、もちろん安心の『キャプテン翼』シリーズです。
ほら、ゴールシーンも現実感増しましたよね。ただし、ネットが破ける頻度は変わりません(笑)
『キャプテン翼V』とよく叫ぶのは、スーファミがこなれてきた証拠。
1994年2月9日に発売された『キャプテン翼V 覇者の称号カンピオーネ』は、さらなる進化を遂げた『キャプテン翼』シリーズとなりました。『III』以降、ほぼ1年間隔で発売されてきたシリーズは、『V』でシステム自身が大きく変わりました。
冒頭は「新田の章」から始まる斬新なゲームのスタート。
『キャプテン翼V 覇者の称号カンピオーネ』は世界を舞台に新田瞬が登場する「新田の章」から始まります。最初は、翼くんが出てこないという画期的な展開で始まりますが、ストーリーが進むと翼くんが登場する「翼の章」へと進むほか、サブシナリオとして「日向の章」「ナポレオンの章」など人気キャラクターが登場するストーリーを楽しむことができます。
そして『キャプテン翼V 覇者の称号カンピオーネ』は、今までのコマンド入力方式からほぼリアルタイムのアクションサッカーゲームにシフトしており、それに従来のコマンド入力方式が加味された形に変わりました。ちょっぴり、アクション性が高まったことで、ゲームをクリアするのがかなり難しくなりました(主観ですが)。特に「パス」はリアルに選手間でパスをするような印象で、この操作が円滑にできないと敵のチームに勝てなくなりました。センタリング、カウンターなどサッカー要素の強い技術がないとなかなかシュートも決まらないのです。かなり本来のサッカーゲームに近づいた印象です。
『キャプテン翼V』ではアクションゲームのようにアクティブな選手にカーソルが表示されています。
もちろんコマンド入力も健在だが、選手を操作させながらコマンド入力するリアルタイム感は斬新。
守備側のコマンドも、リアルに相手の動きに反応しながら入力するイメージ。
キーパーもフィールド上でボールに反応をするようなイメージでコマンドを入力する。
主要キャラクターは、『V』でももちろん必殺技を持っています。
相変わらず選手は吹っ飛びます。
『キャプテン翼V 覇者の称号カンピオーネ』のリアルタイムなゲーム性の善し悪しは賛否両論ですが、キャプテン翼の世界観を強く感じながら、よりサッカーゲームとして楽しみたい人にとって、『V』は最高でしょう。ただし、初心者でも遊べるサッカーゲームという感じではなくなりました。まずはパスをうまくつなげられるようになりましょう。
また、『IV』ではおなじみのオールスターも健在です。これもまたサッカーゲームとして楽しむのにはよいのではないでしょうか。
漢字も豊富に使われるようになった『V』は、やはりスーファミならではゲームに昇華した感があります。
テクモの『キャプテン翼』シリーズは、このほかにも1992年3月27日にゲームボーイ版『キャプテン翼VS』が、1994年9月30日にメガCD専用ソフト『キャプテン翼』が発売されています。メガCD版『キャプテン翼』は2022年10月27日発売のセガの復刻ゲーム機『メガドライブ ミニ2』にもプリインストールされています。
また、テクモの『キャプテン翼』シリーズとは別に、バンダイナムコエンターテインメント(当時は、バンダイのものもあり)からアニメ『キャプテン翼J』とのタイアップで1995年9月14日にゲームボーイ向けに発売された『キャプテン翼J 全国制覇への挑戦』などのゲームシリーズも多数存在します。2020年8月27日にPlayStation 4とNintendo Switch向けに発売された『キャプテン翼 RISE OF NEW CHAMPIONS』は、『キャプテン翼J』の世界観を見事にリアルタイムゲームで体現した名作と一つとして評価されています。
それ以外にも、コナミ(現:コナミデジタルエンタテインメント)からは、トレーディングカードゲームを題材にした『キャプテン翼』シリーズが出ています。Yahoo!モバゲー、Mobage、mixi、GREEなどからは、携帯電話やスマートフォン向けのゲームが公開されているほか、最新版ゲームとしてはブロックチェーンゲーム『キャプテン翼 -RIVALS-』というNFTを利用したゲームが登場するなど、『キャプテン翼』関連ゲームはつきません。これらはテクモとは別のゲームですので今回は割愛させていただきましたが、いずれまた機会があればご紹介したいテーマですね。
この記事をちょっと見ていただけますか。これは、ログイン1993年11月19日号に掲載された「ログインFC 栄光への軌跡」というサッカー関連の記事です。
『Jリーグ1993 プロフェッショナルサッカー』の発売を機にログインもサッカーチームを発足(出典:ログイン1993年11月19日号p.254~255)
これは、1993年にビクターエンタテインメントがPC-9801向けに『Jリーグ1993 プロフェッショナルサッカー』を発売したのを機に、ビクターとログイン編集部がサッカーで勝負をするためにサッカーチームを結成したという記事です。ログインが勝った場合はゲームソフト6本を読者プレゼントとしてご提供いただき、負けた場合はビクターに自由にログインの誌面4ページを進呈するという親善試合を行いました。というように、我々ログインの編集者はやりたいことがあったら企画を考えるという気構えでした。サッカーをしたければ企画を考えればいいのだ、という典型的な企画ページです(笑)
実は、髙橋は子供の頃サッカー少年でした。これはあんまり話したことがないのですが、小学生の頃に日立製作所チーム(現:柏レイソル)が運営する「日立少年サッカースクール」に入会してサッカーの練習していました。「日立少年サッカースクール」は周期的に全国を巡るキャラバンだったので、その後はそこで集められたチームが江戸川区の少年サッカーチームとして継続されるのですが、小学生時代は卒業するまでそこでサッカーを続けていました。そんな経緯から日立製作所チームが好きになり、社会人チームを応援するようにもなりました。Jリーグ発足当時は、Jリーグに入れなかった旧JFL所属の柏レイソルを、Jリーグに昇格するまで全国各地に遠征しながら応援し続けるなんていうこともやっていました。
なので、Jリーグ発足とともにやってきたサッカーブームに便乗して、ログイン編集部でもサッカーチームを作っちゃいました。当時、パソコン向けにサッカーゲームを作っていたソフトハウスさんと実際にサッカーで対戦しては記事を作っていました。大人になって体力的な衰えを自覚しながらも、試合に勝つためにファミコン通信編集部のサッカー経験者(すごいうまい人がたくさんいました)を巻き込んで混合チーム作り、あっちこっちのチームと対戦をしたりもしていたんですねー。
そんなこんなで、テクモの『キャプテン翼』シリーズは楽しくて楽しくて、それはもう遊びまくりました。実は髙橋、サッカー好きだったのです。今となっては、いい思い出です。
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