【第13回】シンプルisパーフェクト──倉庫番

毎度、名作ゲームを紹介する連載コラム『髙橋ピョン太のおニューもレトロも』の第13回は、世界屈指のシンプルパズルゲーム『倉庫番』について解説したいと思います。

『倉庫番』は、シンキングラビットが1982年12月にNECのPC-8801用のゲームとして発売したパソコンゲームがオリジナルですが、発売後ありとあらゆるパソコンやゲーム機などに移植され、40年以上を経た今でもさまざまなプラットフォーム(ハードウェア)で遊ぶことができるとても息の長い現役パズルゲームです。

 

『倉庫番』誕生秘話がユニーク

 

PC-8801版『倉庫番』。パッケージはカセットテープ版のみ。

 

『倉庫番』は、シンキングラビットの社長である今林宏行さんが自ら開発したオリジナルのパズルゲームです。ゲームが発売された1982年当時は、まだパソコンがマイコンとも呼ばれていた黎明期だったこともあり、その開発経緯はとても面白かった記憶があります。その話を最初に伺ったのは、すでに『倉庫番』が大ヒットとなったのちの1984年頃でしたが、髙橋はまだピョン太と名乗る前で、ログイン編集部にはフリーランスのプログラマーとして出入りしていた頃でした。

当時の先輩編集者がシンキングラビットに取材に行ったばかりの話を記事になる前に伺い、今林さんが初めて触ったパソコン(マイコン)がシャープのMZ-80Cだったというのが自分と重なり、今林さんに勝手に親近感を覚えたものでした……。

今林さんは『倉庫番』を開発した当初、このゲームを売る気はなかったといいます。元々文系の今林さんは、まったくマイコンに興味がなかったそうです。

そんな今林さんがマイコンを触るようになったのは、のちに奥様となる付き合っていた彼女の実家のレコード店を(結婚を機に)手伝うようになり、その店に友人が「いいものを買った」とMZ-80Cを持ち込んだのがきっかけでした。なぜか友人はMZ-80Cをそのまま店に置いていったことから、気づけば今林さんはマイコンに夢中になり、マニュアルを見ながら徹夜でゲームを作ったといいます。

そんなふうにマイコンにハマっていった今林さんは、その後NECのPC-8001を買いました。昔からパズル等が好きだった今林さんはPC-8001でも趣味の範囲でゲームを作り続け、それらを友人や知人に遊ばせていたといいます。この頃、すでに『倉庫番』の元となるパズルゲームもテキスト(グラフィックではない文字キャラクター)モードではありますが完成していました。

 

そんなことを続けていた今林さんですが、あるとき、レコード店の片隅にコーナーを設けてパソコンを販売しようという話になり、当時人気上昇中だったNECのPC-6001やPC-8801を店に置くようになったんだとか。

そしてPC-8001で作ったテキスト版『倉庫番』をPC-8801に自分で移植し、初めてPC-8801版でグラフィックを使用します。ちなみに、こられはすべてBASIC言語(プログラミング言語)で書かれていたそうです。今林さんはそれをいつものように友人や知人に遊ばせていたんですが、当時お店にきていたソフトウェア流通会社の営業マンにも披露したところ、「これは売れる」といわれたとのこと。

今林さんは、そのひと言に感化され商品化を決意し、そのゲームを売るために有限会社シンキングラビットを設立します。そしてシンキングラビット第1弾作品『倉庫番』を1982年に発売するのでした。

 

PC-8801版『倉庫番』のパズル画面。

 

ここでちょっと『倉庫番』のゲーム内容について、少しだけ解説しておきます。『倉庫番』は、文字通り倉庫で荷物の番をしているアルバイトのキャラクターが主人公のシンキングラビットオリジナルのパズルゲームです。

ルールはいたって簡単、この主人公を上下左右に操作して、倉庫の中の荷物を指示された所定の格納場所へ運ぶ(移動させる)だけのパズルです。荷物は、一度に一個だけを空いているスペースに押すことしかできません。二個以上の荷物を押して動かすことはできません。また、引くこともできません。ルールは、これがすべてです。あとは、荷物がまったく動かせなくならないように動き回り、所定の格納場所に荷物を全部収めればOKの面クリア型パズルです。

パズル面のフィールドは最大横32×縦20のマスで、そこには何もない空間と壁、荷物、格納場所、そしてプレイヤーが操作する主人公のみ。とにかくシンプルです。しかも『倉庫番』のルールは言語を越えて万国文化を問わず誰でも理解できるという、シンプルさ。そして、このシンプルさが実はパズルとしての奥の深さを秘めていて、意外と簡単そうに見えているシンプルな面でもプレイしてみるとちょっと手こずるということがままあります。

それがまたパズル面を工夫することでその難易度が無限に近いほど広がるのですから、すごいのひと言ですよね。また、『倉庫番』は元々BASIC言語でプログラムされたゲームなので、プログラム本体もシンプルかつコンパクトでどんなハードウェアにも移植がしやすいという特徴があります。基本プログラムと面の数を増やすことで、本当にいつまでも遊べてしまうのですから、これはもう奇跡の発明ですよね。

 

PC-8801版の『倉庫番』はBASIC言語でプログラミングされました。

 

『倉庫番』、移植の歴史

 

『倉庫番』公式サイトによると、1982年12月にはPC-8801版のほかに富士通のFM-7版、PC-8001mkII版を出しています。そして1983年にシャープのX1版、MZ-2000/2200版、PC-6001/mkII版を一気に出しています(※Wikipediaと若干異なっています)。これらはすべてカセットテープ版です。

実は髙橋は当時、『倉庫番』がパズルゲームだと知ったのは、1983年の7月でした。きっかけはログインの1983年8月号の記事です。新しいソフトウェアを紹介するSOFTLOGのコーナーに『倉庫番』が掲載されていたのを見て、「ああ、これゲームだったんだ」と初めて認識したんです。

 

ログイン SOFTLOGの記事で紹介された『倉庫番』(出典:ログイン1983年8月号 p.125)

 

当時、毎週のように秋葉原の電気街を訪れていた髙橋は、1983年の春頃になってパソコンショップでちょいちょい『倉庫番』のパッケージを見かけるようになったのですが、これは倉庫の在庫を管理するビジネス系のソフトか何かだろうと勘違いをしていたのです。

それまで『倉庫番』の広告すら見たことがなかったので(自分の知る限りでは)、それがゲームだなんて知るよしもありませんでした。ですが、ちょうどログインに『倉庫番』が紹介されたのとほぼ同時期に、アキバのショップのゲーム売り上げランキングの10位、9位ぐらいにジワジワと入ってくるようになり、かつあっちこっちのショップでパッケージを見かけるようになって、改めてしっかりパッケージを見たら、なんとゲームだったんですよね。

 

ログインの記事での紹介、ショップのランキングイン、そしてPC-8801版ということで、当時自分のメインパソコンもPC-8801だったので、これは買ってみるしかないと思い慌てて買いました。いやはや、これは面白い。ルールはシンプルだし、こんなパズルはパソコンじゃないと実現できないよなと思ったのが第一印象でした。

そして、思いつけば比較的簡単に誰でも作れそうなプログラムなのに(失礼)、これまで作った人もいなければ誰も思いついたこともないアイデアは、脱帽でした。こういうのこそ、作ることが難しいんですよね。パズルやゲームは、シンプルイズベストです。本当に心より敬意を表します。

これは、髙橋の主観ですが、世間も(ログインも)この頃まで『倉庫番』の存在をしっかりと認識しておらず、知る人ぞ知るゲームで口コミだけでジワジワと売れてきたんだと思います。実際にログインの記事も1983年8月号なのにPC-8801版の1機種しか対応機種を記載していないんですよね。

 

PC-8801版『倉庫番』は、ギブアップもしくは荷物をすべて格納ができたらf・1キーを押す自己申告仕様。

 

ちなみにPC-8801版『倉庫番』は、荷物をすべて格納場所に収めることができたらf・1キー(ファンクションキー)を押すという自己申告制でした。面は、全部で20面用意されていましたが、その面の中にはすり抜けることができる壁を発見して通り抜けないと解けない面がありました(シンキングラビットは、のちにそれをウルトラCと表現していました)。

ちなみに『倉庫番』のパズル性を高めるために、それ以降の製品ではウルトラCは廃止されます。そして、この『倉庫番』では全20面をクリアしたときのメッセージを入手したプレイヤーは、次の製品に向けて新しい問題を考えて応募することができる権利を得ることができました。

新しい面は方眼紙等に書いて応募するというアナログな方法でしたが、それが採用されたあかつきには懸賞金がもらえるという制度でした。こうして集められた秀逸な問題は次の製品に採用され、約束通り『倉庫番2』となって登場します。

 

『倉庫番2』の広告とゲームの発売

 

1983年11月、『倉庫番』のPART IIの発売予告が広告にて登場します。初代『倉庫番』は広告の出稿がありませんでしたが(個人的見解、自分は見たことがなかった)、今度は発売前から堂々と広告の登場です。それだけ『倉庫番』はヒットし、人気のゲームとなったという証しではないでしょうか。

 

『倉庫番』PART II発売予告の広告(出典:月刊I/O 1983年12月号)

 

新作『倉庫番』の名称は『倉庫番2』です。今回の製品は全50面。しかも全国から集められた優秀な問題が採用されていますので、それはもう難易度は高めです。ちなみに『倉庫番2』になって、荷物の収納完成は完全に自動判断されるようになりました。『倉庫番2』が出たことによって前作は“入門編”という位置付けになりました。また、キー入力、選択式の面など、いくつか改善もされました。

 

『倉庫番』PART IIは、『倉庫番2』の名称になって発売(出典:月刊I/O 1984年2月号)

 

そしてさらに、今度の製品は自分で問題が作れるエディタ付きとなりました。いやはや、大進化ですね。『倉庫番』ファンも大満足です。『倉庫番2』は、新しい問題を作って投稿しやすくなりました。のちの広告には、シンキングラビットから新しい問題が出題されるといった粋な計らいもありました。これで『倉庫番2』のゲームシステムは、完全体になったイメージですね。

 

『倉庫番2』の新しい問題付きの広告(出典:月刊I/O 1984年5月号)

 

時代は、徐々にフロッピーディスクが普及し始め、『倉庫番2』はカセットテープ版のほかにも5インチフロッピーディスク版が発売されるなど、プレイ環境的にもよくなりつつあった時代でもあります。そしてNECのPC-9801版、日立のS1版など、主要パソコンにも対応し、非常に多くのハードウェアにて遊べるようになりました。

 

カセットテープ版『倉庫番2』のパッケージ写真。

 

ゲーム機への移植も盛んになりつつあった

 

『倉庫番2』の発売後は、初代『倉庫番』がMSXやゲーム機等に移植される流れになります。1984年5月にはMSX版、1985年4月にエポック社のゲームポケコン版、1985年12月にセガのSG-1000/SC-3000版が発売されます。これらは、『倉庫番2』の形に近い『倉庫番』として発売されました。

また、1986年7月にはファミリーコンピュータのディスクシステム版として『涙の倉庫番スペシャル』というタイトルがアスキーから発売されました。『涙の倉庫番スペシャル』は、エディタ付き、かつオイルや磁石といったオリジナルにはないアイテムが登場する得点を競い合うゲームモードが追加されています。

もちろん、これまでの『倉庫番』と同様の遊び方をしたい人は、パズルモードで遊ぶことができます。ちなみにパズルモードは全150面で当時は早解きのキャンペーンも行われるなどで盛り上がりました。

 

コンシューマー市場でも盛り上がり始めた『倉庫番』シリーズ(出典:ファミコン通信 1992年11月6日号)

 

ファミコン向け『涙の倉庫番スペシャル』は、ディスクシステム版でした。

 

グローバル展開も見られた、海外版『SOKO-BAN』

 

1988年になって『倉庫番』はさらなる急展開を見せ、Spectrum HoloByte(スペクトラムホロバイト)が米国で『SOKO-BAN』という名称で海外版を発売します。この年、一気にTRS-80 Color Computer版、Apple II版、Commodore 64版、IBM PC/AT互換機(DOS)版が登場しました。これらは、ゲームの著作権表記から推測するとアスキーから1984年に発売されたMSX版がベースになっているようです。

しかし、ゲームはエディットモードとゲームモードをエレベーターホールで切り替えるというような構成になっており、その表現は独自のものになっていました。海外版は制限時間も設けられています。

 

Apple II版『SOKO-BAN』のゲーム画面。

 

こちらはIBM PC/AT互換機向けCGA版(DOS版)のゲーム画面。

 

『倉庫番』を持ち歩いてプレイする時代

 

1989年になって『倉庫番』はゲームボーイに対応します。いやはやこれは個人的には一大事でした。だって、これまではデスクトップやテレビの前で遊ばなければならなかったのが、一挙にアウトドア対応ですからね。『倉庫番』のようなパズルゲームは暇つぶしに持ってこいですから、ゲームボーイ版『倉庫番』はなかなかの快挙でした。いつでもどこでも『倉庫番』で時間をつぶせるんですから。

しかし、この年の髙橋はゲームボーイ版を購入しませんでした。実は髙橋、当時流行っていた電子手帳用にリバーヒルソフトが発売したシャープの電子手帳版『倉庫番』を購入しました。これ、Wikipediaの倉庫番移植一覧には載っていないんですが、当時のシャープの電子手帳はROMカードを入れ替えることでいろいろなソフトが利用できる仕様になっていたことから、こうしたゲームも出ていたんですよね。ということで、電子手帳も持ち歩くことができたので、これは買うしかないでしょうということで、買ってしまったんですね。

ちなみにこのコラムを書くにあたり、久しぶりに電子手帳を自宅の部屋の奥底から掘り出してきて電池を入れ替えて起動してみたところ、なんとこれが動いたんですよねー。我ながらビックリでした。

 

シャープの電子手帳向け『倉庫番』。ROMカードを入れ替えることでソフトウェアを切り替えられました。

 

当時はまだモノクロ液晶が主流でした。

 

『倉庫番』の快挙は続く

 

その後の『倉庫番』は、パソコン向けには『倉庫番Perfect』が、メガドライブ版には『史上最大の倉庫番』が、PCエンジンには『倉庫番WORLD』、ゲームギア版には『倉庫番』等々、ハードウェアを問わずありとあらゆるパソコンやゲーム機に移植され続けます。なんと1990年にはナムコからアーケード向けの『倉庫番Deluxe』まで登場します。もはや個人では、すべてを追うのは大変なゲームになっていました。

正直、自分ももうわからなくなっていました。この間にも、パソコン向けにはリメイク版や新しい面が追加されたバージョン等々新しいパッケージも登場しているので、これはもう自分の手元にあるハードウェアに発売された『倉庫番』で遊ぶのが一番だなと思った時期でもありました。

そんな中、ちょっと『倉庫番』を忘れかけていた頃でしょうか、1992年11月6日号のファミコン通信にこんな広告が登場しました。

 

パック・イン・ビデオの『Super倉庫番』の広告(出典:ファミコン通信 1992年11月6日号)

 

何、これ、かなり刺激的な広告で髙橋もビックリしました。ま、確かに愛され続けてきた『倉庫番』ですが、これには驚きました。ま、久々に買ってみるかとなりますよね……。

 

パック・イン・ビデオのスーパーファミコン版『Super倉庫番』のROMカートリッジ。

 

パック・イン・ビデオの『Super倉庫番』は、買ってみてさらにビックリ。なんてったってスーファミを立ち上げた瞬間、ボディコンシャスばりの女性のヒップのアップシーンからゲームが始まるんですよ。しかも、女性がフリフリってヒップをひねりながら歩くセクシーなシーンが続くんです。

 

オープニングが大胆な『Super倉庫番』。

 

ま、そんな大胆な演出でスタートする『Super倉庫番』なんですが、その内容はというと、もうこれはまさにスーパーで、『倉庫番』の集大成がここに詰まっているというものでした。

 

『Super倉庫番』は全体的にカラフルで、ちょっとこれまでの雰囲気とは違っていました。

 

ゲームは、こてしらべコースからなんかいコースまで全6コース、各コース50面の洗練されたパズルが登録されており、たっぷりと『倉庫番』を楽しむことができます。しかも、『Super倉庫番』は間違えても戻せる機能が付いていて、初心者も安心してチャレンジできる優しい機能付き。

それでいて各面には決められたステップ数があり、なるべく最小ステップでパズルを解いていくように工夫された仕組みにもなっています。また、一度解いた面は、最も効率のよい模範解答が見られる機能もあり、『倉庫番』をじっくりと研究することができます。『Super倉庫番』には、もちろんエディタ機能も搭載されています。

 

『Super倉庫番』のこてしらべコースの面。シンプルに見えていますが、問題は洗練されています。

 

『Super倉庫番』のエディットモードは、既存の面を読み込んで改造することも可能です。

 

また『Super倉庫番』には、新たに対戦モードが搭載されました。これは、同じ面をどちらが先にクリアできるかというモードになっており、全部で5回戦、先に3勝したほうが勝ちというルールで対戦します。対戦中、ランダムで自分のパズル面が90度回転するというハプニングも用意されており、荷物を格納場所に収納するたびに、相手により多くのハプニングが発生するよう駆け引きができるなど、対戦ゲーム性が高まっています。

 

『Super倉庫番』対戦モード。上のバー内のキャラクターが転ぶと、その色のプレイヤーの面が90度回転します。バーは、荷物を収納するたびに自分のカラーバーが縮み、キャラクターの転ぶ確率が下がります。

 

現在も続く『倉庫番』の移植

 

1990年代後半は、MacintoshやWindowsにも移植されるなど、『倉庫番』の勢いはとどまるどころか、新しいハードウェアに必ず対応するような印象です。もうこの頃は、シンキングラビットが移植するのではなく、各社がシンキングラビットのライセンスの元、それぞれが移植するというパズルゲームの定番として浸透するようになります。各種次世代ゲーム機はもちろんのこと、携帯電話(フィーチャーフォン)やスマートフォンにまで『倉庫番』は移植されています。

実は2000年代後半から2010年代前半は、『倉庫番』はプログラムの移植が簡単であることから海賊版が多くなり、特にスマートフォン向けのアプリは、世界中で違法のゲームが出回ってしまいました。そんな折、あのシンキングラビットが2015年頃から再び自らが移植をしたWindows版の各種『倉庫番』、スマートフォン版『倉庫番Touch』等々新たな展開を進め、シンキングラビットの正式な製品版を発売するようになりました。これは非常によいことでした。しかも、スマートフォン版はタッチ操作になったことから、『倉庫番』のUI(ユーザーインターフェース)も大幅に進化しています。

 

スマートフォン版『倉庫番Touch』。

 

『倉庫番Touch』のタッチ操作は秀逸です。

 

シンキングラビットは、2019年にファルコン株式会社に倉庫番の著作権を移管するのですが、その後はファルコンが開発元(ライセンス元)となり、UNBALANCEが『みんなの倉庫番』というタイトルでNintendo Switch向け、PlayStation 4向けにダウンロード版を正式なライセンス版として発売しています。シンキングラビットはファルコンのブランドの一つとなりました。

 

Nintendo Switch向け『みんなの倉庫番』。

 

Nintendo Switch版もまた持ち運べるので遊びやすい。

 

またパソコン向けには、現在Windows対応の『倉庫番スマート』がダウンロード版で発売されているのですが、こちらはスマートフォン向けのみにリリースされていた新作面を収録した全306面のバージョンになっています。

そのほかにもWindows対応のダウンロード版『倉庫番』4製品は、愛知県岩倉市のふるさと納税の返礼品にもなっており、岩倉市にふるさと納税2万円を寄付することで返礼品として『倉庫番4製品パック Windows対応版』の「ライセンスキー(制限解除パスワード)」を受け取ることができるというユニークな展開も行われています。

つまり、現在もなおこうして『倉庫番』の移植は続いており、いやはやなんとも40年超えの現役バリバリなのです。今後、新たなハードウェアが開発されるたびに、きっと『倉庫番』は移植され、そのたびに何か新しい展開があるのではないかと期待せずにはいられないパズルゲームなのです。倉庫の番、大好きです。

 

©1982 HIROYUKI IMABAYASHI

©1984,1986 ASCII Corp.

©1989 Riverhill Soft Inc.

©1992 PACK-IN-VIDEO Inc.

©1989 FALCON CO.,LTD.

©UNBALANCE Corporation

「倉庫番」および「sokoban」、兎マーク、「シンキングラビット」、「THINKING RABBIT」は、ファルコン株式会社の登録商標または商標です。

 

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著者紹介
髙橋ピョン太

1980年にフリーでパソコン用ゲーム開発を開始。『ボコスカウォーズ』PC-8801版の移植の仕事をきっかけにアスキー専属プログラマーになり、80年代前半~90年代にアスキーのパソコン雑誌『ログイン』の編集者に転向。
その後は、どっぷりと編集につかり、『ログイン』6代目編集長を経て、ゲーム、IT系ライターとなり、現在に至る。Xではレトロなハードやゲームについてつぶやいています。
髙橋ピョン太のX(https://twitter.com/pyonta)

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