もう1年も経ったのかと思うと時の流れはあっという間だなぁと感じます。
「EXTRA mag.#1」を振り返るに続き「EXTRA mag.#2」も振り返ってみますが、結構話が長くなりそうなのでそれぞれ章を付けてみました。
自分が携わった部分だけのテキストなのでその辺はご了承下さい。あと結構記憶が断片的で時系列が違うかもしれません。フィクションとしてお読み下さい。
本誌にご協力して頂いた皆様あってこそ完成した本なので、この場を借りて心よりお礼申し上げます。また何度も監修して頂いたメーカー様へはお手数をお掛けし申し訳ございませんでした。
序章 三倍計画誕生
「EXTRA mag.#1」(以下「#1」)が無事に発行され、本として世に出てからは緩やかな時間が流れていた。だがその緩やかな空気は社長の「80Pはみすぼらしいから「I/O」の様に分厚くしよう。3倍あれば大丈夫」という鶴の一声で不安へと変わっていった。
「わかりました。寄稿ではなく特集を組めば240P位何とかなるでしょう。」
とはいったものの、この時点で具体性は何も無い。
アーケードとレトロPCでバランス良く、更にページが稼げそうとなるとコレクションもあるアルファ電子とコンパイルにしようといった事はぼんやり浮かぶも、それぞれどの位のページ数になるか・何を紹介するかはまだまだ先の事。
1週間後にはやまたつお先生による『剣聖伝』をテーマにしたマンガとメーカー様による寄稿、ログイン風実写マンガを入れようと方針が固まり、「#2」プロジェクトはスタートしたのであった。
ちなみに「当時の「I/O」って大多数が広告とマシン語のダンプリストじゃないか」と気付いたのは本が出た後であった。
一章 地雷の森の少年
とは言ってもとにかく忙しかった。秋葉原では店長として業務を行いつつ、別のプロジェクトも進行させて、自分で「#2」の原稿も書かなければならない。あとはイベントにも多分出たかと思うとよくこなせたなと思う。
秋葉原で仕事を終えた後はゲームセンターへ足を運び『BORDER BREAK X』に熱中していた。やればやる程戻ってくる感覚、順調に上がる階級という快楽に心の拠り所を捧げていた。
設置武器で2体撃破する時に入るカットイン「注意がたりないんじゃない?」はよりゲームを楽しくさせてくれた。自分よりも遥かに年配者を爆死させ煽る少年兵となり、夜な夜な地雷を片手に戦場へと向かっていく日々は充実しており、あれは遅れて来た青春だったのかもしれない。
二章 アルファ電子の動乱
時系列は前後するがアルファ電子のご関係者からはアルファ電子の功績を本にして良いという許諾を受けた。せっかくのご厚意に応えるべく本格的な特集にしようと思いを固める。
そんな中で奥成さん主催の倉庫見学ツアーが開かれ、元アルファ電子の松下さんを紹介される。ここでアルファ電子の本を作りたい旨を説明し、古くから在籍し最後までいた鳩野さんを紹介して頂ける事になった。そこからは創業から携わり『ジャンピューター』や『将棋』などの生みの親である深津さん、『ワーヒー』のさいとうつかささん、広報の田口さんと今振り返ると非常に豪華なアルファ電子の方々と連絡が取れる様に。
そして表紙は松下さんの紹介で藤ノ宮先生になった。アルファ電子の元祖ともいえる『ジャンピューター』から『ティンクルスタースプライツ』まで総括したイラストが欲しい、と今思えば数が多くて大変なだけだが快諾して頂き本当にありがとうございました。
この時同時に幻の基板(多分)『パーフェクトジャンピューター』も入手し、基板の紹介準備も完了。インタビューやレビュー執筆へと舵を切っていった。
三章 台湾王バケツ団
アルファ電子、コンパイル(後述)、ぜくうさんによるテキスト、シグマメダルゲーム、メーカー様、写真マンガ、『剣聖伝』ではどうやっても240Pにならない。これだけは変えられない事実である。
許諾も取れてページも割けて書けそうな特集はあるものか…困っていた中、そういえばATARI2600同人誌を作った際に「第二弾は台湾クーパー(※1)特集」と話をしていたのを思い出す。
パチモンなら無許可で大丈夫、というか権利元どこだよという事で早速バケツ団のメンバーに相談する事に。「雑誌を作っていてアルファ電子とコンパイルの特集が…」と伝えたら「個人誌ではなく広報誌なんですか?」と返答されたのは今でも鮮明に覚えている。
報酬はタイガービジョンの『スプリンガー』(オルカ作品の移植)Tシャツ、ここにバケツ団は再結成された。早速eBayをチェックするとベネズエラから台湾クーパー大量セットが!
「原稿料を少なくしてもいいからこれは入札してケロ!」とloderunさんの熱い言葉を受け、ムキになって入札をするワタクシ。ついでに『PAC-KONG』の箱説付も落札しこれにて準備完了。
※1 台湾クーパー
台湾製で箱にクーパーブラックフォントを使っている所から命名される。パチモンだからこそ生まれた味わい深い箱絵は正にアートと言っても過言ではないだろう。
詳しくは「#2」にて。
四章 空(から)に舞う
「コンパイル特集って言ってるけど収録されてないじゃん」と言うのは本当に最もである。そして三倍計画を打ち出したが、実際には240Pになっていないのも事実である。それもそのはずコンパイル特集が掲載されたら240Pになるという計算で動いていたのだ。
もしあの時連絡ができていれば…と悔やまれるが出来なかった事は出来ないのである。ただ載ったら載ったで売価が4000円となり恐ろしい結果となってしまったのかもしれない。
これについては別途コンパイル特集だけで本が出たのでそちらにて後述予定。
五章 虚無への扉
どうやっても間に合わない。
監修に出すのも遅れしまいそれで時間を取ってしまったのもあるが、原稿を書く量があまりにも多すぎる。とにかく原稿を書いた覚えはあるがこの時期はあまりにも大変だったのか本当に記憶に無い。
(中略)
誰もひとりでは生きられないが、結局は人間は一人であって無力なのである。この間にも時がすこやかに軽やかに、そして美しく流れていく。
締め切りまで残り数日。
六章 光をつぐもの
入稿最終日、夕方とギリギリをオーバーしたに違いないが最終監修を受けて無事に入稿。その日は休日でパソコンの前に朝から張り付いていた覚えがある。何故かどさくさに紛れて社長の原稿は落ちた。
結果コンパイル特集は収録できず、次の巻頭に持っていくかこれだけで単独で出すかという議論が出た。結果としては単独で出す形になり、早速拾い上げる仕事へと取り掛かるのであった。
七章 苦境をこえて
に続くのかもしれない