MSXは1983年にマイクロソフトとアスキーによって提唱された8bit/16bitパソコン用の共通規格の名称です。NECのPCシリーズや富士通のFM、シャープのMZ/X1といった機種に出遅れない様多数の家電メーカーが参入し、各社から様々な機種が発売されました。その中にはテレビとの合体、レーザーディスクゲームも遊べる、FM-7と同時運用できる等、提唱当初は活気に満ち溢れた機種が多数登場しているのも大きな特徴です。
専用モニタを必要としない設計やその値段の安さ(標準的な価格帯は50000円)、標準でBASICが組み込まれている事や各社の販路に乗った事から広く売れ、プログラミングだけでなくゲーム機として広く使われました。
値段に関しては1984年にカシオが電卓で培った技術を投入し、定価29800円のPV-7という機種を発売しました。スペックこそ最低限ですが圧倒的な安さは捨てがたく、これが初めてのパソコンという方もいらっしゃるのではないでしょうか。その後定価19800円のMX-10という機種を発売し、これがMSXの中では最安値ではないでしょうか。この圧倒的低価格はMSXを広く普及させましたが、あまりの安さに競合他社が太刀打ち出来ず撤退を招くといった事もありました。
順風満帆に見えたMSX陣営ですがカセットを使いゲームが出来るという点からファミコンと比較されたり、同時期に発売されていたPCシリーズ等とグラフィック面で比較されるといった事もあり、「グラフィック能力の劣るゲームマシン」「入門用ホビーパソコン」という見方をされてしまいます。
グラフィック能力が乏しいパソコンという認識が定着しつつあった1985年にMSX2規格が提唱されます。提唱当初はMSX1と差をつける為グラフィック機能を大幅にパワーアップさせ、フロッピーディスクドライブや漢字ROM、メモリを多数搭載し10万から20万円の間で発売されました。この時に出たMSX2はMSXらしからぬセパレート式(本体とキーボードが別)なので高級感が非常にあり、今でもマニアの間では人気が高い機種です。
高級路線で進めていたMSX2も1986年10月に終わりを告げます。パナソニックが本体一体型MSX2FS-A1を29800円と低価格にて発売しました。その値段の安さからFS-A1とソニーが発売したHB-F1は大ヒットを飛ばし、それに伴う様にゲームソフトも充実してきました。(丁度同時期に登場には大容量ロムカセット、メガロムが登場しゲームのクオリティも大幅に引き上げられました。)また翌年にはフロッピーディスクドライブを搭載したFS-A1F/HB-F1XDが発売されフロッピーディスクでのゲームも多数リリースされ、一番MSXが盛り上がりを見せた時代と言われています。
その後は横スクロール機能や同時発色数がパワーアップしたMSX2+や 16bitCPU、R800を搭載したMSXturboRを発売しMSX規格は終焉しました。(新しい規格が提唱される度に参入メーカーが減り、最後の MSXturboRに至ってはパナソニック1社しか発売していませんでした。)
規格こそ終焉しましたがマシンやゲームソフトに惹きつけられたユーザーによって、MSXは今でも熱い支持を得ています。このページでもそんなMSXの魅力について様々な方面からご紹介をさせて頂きたいと思いますので、これからMSXを始めようという方から当時遊んでいた方、今でも遊ばれている方もご覧頂ければと思います。
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