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【BEEP修理班】FM TOWNS MARTY モデル2の電源修理とオーバーホールをしました

今回はお客様から依頼を受けました「FM TOWNS MARTY モデル2」の修理とオーバーホールをしていきます。

FM TOWNS MARTYは富士通の32ビットマルチメディアパソコン「FM TOWNS」のホビーユースタイプとして、家庭用ゲーム機に近いスタイルで1993年2月にリリースされました。このモデル2はボディカラーをグレーが変わり、価格設定をあらためて競争力の強化をはかったものです(スペック的な変化はナシ)。市場的に成功したとはいえないマシンでしたが、FM TOWNSのソフトをテレビ接続で簡単に扱えるというのはゲームプレイヤーにとっては都合のよいものでしたね。

さて、それでは修理にとりかかります。
症状としては
「電源が入ったり入らなかったりする」
「フロッピーディスクが読めない」
「ディスクの読込が不安定」
「イヤホンのガリ音」
といった状態です。

まずは、本体裏面のネジを5カ所外して上部カバーを開けます。

そして、電源の電圧を測っていきます。
やはり電圧が出たり出なかったりと不安定な状況でした。

この電圧異常の電源のまま長時間動作確認をしてしまいますと、電源基板はもちろんのこと、メイン基板など他の部分にも悪影響を及ぼし、故障個所が増える可能性があります。
ですので、短時間でサクッと動作確認を済ませてすぐに電源は切ります。

それでは、電源部の修理から始めていきます。
ネジを4カ所とコネクタを外すと電源基板が外れます。

ネジは無くさないようにマグネットトレイに付けておきます。
レトロゲームは特殊ネジが使われていることもあり、なくしてしまうと入手不可…なんてこともありますので、外した部品の管理は徹底する必要があります。

電源基板を外す前に注意点ですが、電源基板は高い電圧がかかっており、電源オフにした状態でも電解コンデンサにはしばらく電圧が残っています。
大変危険ですので技術者以外は触れないようにお願いします。

ハンダ吸取り機とハンダごてを使い電解コンデンサを交換していきます。

交換する際は油性ペンで電解コンデンサに印を付けて、交換忘れを防ぎます。

外したコンデンサを見ると…やはり液漏れを起こしているものもありました。

電源基板の電解コンデンサを全交換して仮組みをします。
動作確認をすると、すんなり一発起動しました。
その後、10回ほど電源オンオフを繰り返しましたが問題ありませんでした。

CD-ROMも動作確認しましたが問題なく読込むことができました。
どうやら電源供給が不安定だったため、読込不調を起こしていたようです。

続いて、フロッピードライブの修理をしていきます。
フロッピードライブはネジ2カ所とフレキシブルケーブルで繋がっています。

裏側を見てみますとゴムベルトが劣化により切れて完全になくなっていました。

モーターの回転部分を見ると劣化したゴムがへばりついています。

この回転部とエンコーダ部分の汚れをアルコールを付けた綿棒でキレイに清掃していきます。
汚れが残っているとゴムベルトが上手く回転しなかったり、
劣化を早めたりするので綿棒に汚れが付かなくなるまでよ~く拭きます。

清掃が終わったら基板を外してベルトをかけていきます。
指でエンコーダ部分を回してスムーズに回転するか確認します。

問題なかったので表面のスクリューねじ部分をクリーニングとグリスアップをします。
グリスを付けすぎたり、軸以外に付いたりするとフロッピーディスクを挿入した時にディスク側にグリスが付いたりするので注意が必要です。

フロッピードライブのメンテナンスが完了したので、仮組をしてクリーニングディスクでヘッドの清掃をしていきます。

動作確認をすると、無事読み込むことができました。

修理は完了しましたが、このままオーバーホールのため全ばらししていきます。

さきほど、取り付けた電源基板とフロッピードライブを外します。
続いて、CDドライブを外します。コネクタ1本とアース線のネジ1カ所で簡単に外れます。
念のため、ピックアップのクリーニングと駆動部のグリスアップをしておきます。

続いてプレートを外していきますが、注意点としてはネジが多いのと、種類や長さが異なるので写真を撮るなりして元の位置に戻せるようにします。

プレートが外れ、ようやく基板が見えました。
ネジ4カ所を外すと、基板が外れますが下側にプレートがくっついています。

コネクタ部分のネジを外すと、下側のプレートが外れメイン基板だけになります。

メイン基板の電解コンデンサを全て外して交換していきます。
種類が多いのでマジックで印を付けて1つずつ交換していくのが確実です。

続いて、イヤホンボリュームにガリ音がありましたので接点クリーニングしておきます。
使用するのは接点洗浄剤です。

バックアップバッテリーの交換もしていきます。
同じ型のタブ付き電池が見つけられなかったので配線をジャンパーさせてソケット化をして取付ます。

あと、予防保全として、コネクタ部の再半田を行いハンダクラックを予防します。
とくにコントローラー接続部は何度も抜き差ししたり、引っ張ったりするので非常にクラックが起きやすい部分でもあります。

バラした手順と逆に組みつけていき、バックアップバッテリーのソケットの位置を決めて取付ます。

これで作業は完了となりますので動作チェックをしていきます。
フロッピー、CD-ROM、バックアップ、コントローラー、音声など各部分念入りにチェックを行います。

ソフトを起動しながら3時間ほどエージングを行いましたが、問題なかったのでこれにてオーバーホール完了となります。

今回はFM TOWNS MARTY モデル2の修理とオーバーホールを行いました。
電解コンデンサの数は30個とそれほど多くはありませんしたが、ハンダが溶けずコンデンサが
すんなりと外せないものもありました。ハンダ吸取り機の温度を上げたり基板の両面から熱して外したりとそれなりに技術や経験が必要です。
さらに、電源基板の修理など危険な作業もありますので知識や経験ない方は真似しないようお願いいたします。

BEEPでは今回のFM TOWNS MARTYをはじめ、レトロゲームの修理を受け付けています。
お見積り(無料)だけでも結構ですのでお気軽にご依頼くださいませ。

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