今回はBEEPで買取をしたゲーム&ウオッチの「ドンキーコングホッケー(HK-303)」を修理していきます。
ゲーム&ウオッチが任天堂の家庭用ゲーム機の原点であることはあらためて説明するまでもなく知られていますが、この「ドンキーコングホッケー」はゲーム&ウオッチの中でも2人で対戦が楽しめる「MICRO VS. SYSTEM」というシリーズになります。当時の定価は6,000円でした。発売は1984年11月13日で、国内のゲーム&ウオッチとしてはかなり末期のタイトルであるため、今ではわりとレアなものになっていますね。
さて、それでは修理にとりかかっていきましょう。
症状としては、液晶の画面全体にシミのようなものが広がっています。
これは、ビネガーシンドローム(以下ビネガー)と呼ばれている症状で、液晶部分に使われているフィルムが経年劣化で加水分解されシミのような模様が生じています。
ビネガーが悪化するとツンとしたすっぱい臭いが漂い、部品交換をして本体を清掃してもなかなか臭いが取れません。
今回のものは比較的軽度なので臭いもせず、部品交換すれば、まだまだ長くお使いいただけると思います。
それでは早速、反射板と偏光板を交換していきます。
裏フタを外すと基板がみえます。こちらも8カ所ネジを外していきます。
基板をカバーから取り出すと液晶部分にアクセスできるようになります。
液晶部分の構成はこのようになります。
ゲーム&ウオッチと同じ構成です。
こちらは反射板と偏光板が組み合わせたものですので、
それぞれ切り出していきます。
反射板を同じサイズに合わせて切り出していきます。
ここで注意点ですが、偏光板を切り出すときは向きが非常に重要です。
キレイに写る角度をさがして切り出します。
今回は約45度の位置が表示がキレイでした。
次に、使いまわす液晶やフィルムを清掃していきます。
擦るとプリントが剥がれることがあるので、乾拭きで優しく汚れを落とします。
劣化しているものだと軽く擦っただけでも剥がれますので本当に注意が必要です。
ついでに、ボタンの接点もクリーニングします。
今回はボタンの動作不良は見られませんでしたが予防としてクリーニングしていきます。
使う物は「綿棒」と「無水エタノール」です。
ボタン側のラバーと基板側の接点を無水エタノールを付けた綿棒で軽くクリーニングします。
コントローラーはネジ2カ所を外すとパカっと簡単に開きます。
クリーニングしながらラバーに破れはないか念入りにチェックをします。
あとは、分解と逆の手順で組付けていきます。
組付けたあとに液晶が真っ暗になってしまった場合は偏光板の取付向きが違いますので
裏表を逆にして再度組付けます。
それでは動作確認をしていきます。
交換前と比べてみますと映像がハッキリしてゲームもプレイしやすいです。
コントローラーの反応もばっちりです。
これで修理は完了となります。
今回の修理もゲーム&ウオッチの時と同じく偏光板の角度が非常に重要でした。
また、ビネガーが軽度のうちに交換しておくと液晶のダメージも少なく、臭いも本体に残らないので良いと思います。
BEEPでは今回のドンキーコングホッケーをはじめ、レトロゲームの修理を受け付けています。
お見積り(無料)だけでも結構ですのでお気軽にご依頼くださいませ。