ネオジオの黄金期に突如あらわれた無名の大傑作アクション『メタルスラッグ』の思い出

メタルスラッグのタイトル画面です

毎度お世話になってます、BEEPの天元中です。

SNKのネオジオといったら対戦格闘ゲームのブームをカプコンとともに築きあげた栄光のハードですね。

『餓狼伝説』『サムライスピリッツ』『ザ・キング・オブ・ファイターズ』をはじめ、現在でもプレイヤーの心をつかんでいる名作・傑作がたくさん挙げられます。

今回は、そうしたメインストリームとは違うけれどもネオジオだったらこれは語っておかなきゃイカンでしょ! ってゲームのひとつ、『メタルスラッグ』をピックアップします。
(もちろん『ビューポイント』『ティンクルスタースプライツ』『フライングパワーディスク』なども今後の紹介候補ですよ…)

『メタルスラッグ』の魅力といったら、まずはなんといってもドット絵を極限まで突き詰めたグラフィックでしょう。

絵の描き込みがすごいだけでなく、キャラクターのアクションやメカの爆発など、どこまで用意してるんだという。
自分がこのゲームをはじめて知ったのは、秋葉原のゲームショップ「メッセサンオー」で発売前の展示をしていたときでした。
デモシーン(ステージ2の落下傘兵が出てくるところ)で、敵兵士のやられパターンが豊富なこと、断末魔がやかましく出血も激しいことを見て「これは要チェックのゲームだな…」と同行していた友人とその場で決めていました。

メタルスラッグのデモ画面です
▲これがそのデモシーン。よく動き、よく叫びます(笑)。

ただ、『メタルスラッグ』って、決して華々しいデビューを飾っていないんですよね…。

ネオジオのゲームということで、発売はSNK名義でしたが、タイトル画面にはNAZCA CORPORATION(ナスカ)という制作会社が表記されていました。
でも、そこがどんな会社なのか、どんなゲームを作っていたのかはわからなかったんですよね。
本作発売の1996年はインターネットで探せる情報は充実していなかったこともあり、まったくもって正体不明!
(とはいえ、一部のアーケードゲームマニアはアイレムのスタッフが関係していると気づいていたようですね)

加えて、ネオジオには『キング・オブ・ファイターズ』『リアルバウト餓狼伝説』『サムライスピリッツ』『マジカルドロップ2』といった人気シリーズがそろっていました。
アーケードゲーム誌「ゲーメスト」だけでなくネオジオ専門の「ネオジオフリーク」でさえ、そうした主力タイトルに力を入れていて、『メタルスラッグ』の紹介はごくわずか。

また、当時、自分は吉祥寺のゲームセンターでバイトしてましたが、その店だけでなく、まわりの店でも入荷していませんでした。
田町のゲームセンター(自分とは違う系列のお店)にいた友人のところも入荷ナシ。
秋葉原の一部のお店で見かけたくらいです。そんなにゲーセンめぐりをしてはいないんですが、自分の身のまわりではそんな状況でした。

家庭用のロムカートリッジもひっそり発売されて、ヒットしていた印象って全然ないんですよね。
(このへん、『サムライスピリッツ』はアーケードで稼働しはじめたら雑誌でどんどん紹介され、家庭用ロムカートリッジも即売り切れて増産…と盛り上がっているのはものすごくわかりやすかったです)
ビジュアルも武器をたくさん背負ったオッサン(主人公のマルコですが…)で、これで売れるんだろうかと自分は遊ぶだけの立場ながら心配になったものです(笑)。

メタルスラッグのインストです
▲これがメインビジュアルで、家庭用ロムカートリッジのパッケージにも使われています。これでゲームの魅力が伝わっているとは思えないんですが…。

しかし、いいゲームであることは熱心なゲーマーには伝わっていたようで、1996年度のゲーメスト大賞でのベストアクション賞で2位、ベスト演出賞で7位を獲得します。

ほかにも海外でのセールスがよかったのか、あるいはほかの事情があったのかは不明ながら、その後には続編である『メタルスラッグ2』の制作がアナウンスされます。NAZCA CORPORATIONもSNKに吸収合併され、以降は雑誌での扱いやプロモーションも一気によくなり知名度も大幅に上昇、ゲーム内容も演出もより磨きがかかり、シリーズ化されていきました。『~4』からは制作スタッフや販売会社などが変わっていきながらも、さまざまなスタイルで続いています。現在(2024年7月)もスマホアプリ『Metal Slug: Awakening』がリリースされたばかりですね。
ここまで長い期間続くゲームって、ごく一部のかぎられたタイトルだけで、本当にすごいことです。

さて、じつは『メタルスラッグ』にはもうひとつ大きな魅力があります。
アクションゲームの核心でもあるんですが、操作感がめちゃくちゃいいんですよね。
いわゆる“動かしているだけで楽しくなる”ってやつです。
入力に対してクイックなレスポンスは当然として、そのアクションのスピード(移動速度やショットの速度)がじつにハマっていて、まるで自分の手足がレバー&ボタンとつながっている気にすらなります。

ビジュアル面の魅力や演出をさらに盛り上げるBGMのについては誰かがネットにアップロードした動画でも楽しめますが、操作感については実際に体験しないとわかりません。
巧妙な緩急がつけられたステージの構成もあいまって、最高のプレイ体験が味わえます。
腕前が上がってプレイに余裕が出てくるようになると、隠し捕虜を見つけたり、ステージ設置物や敵キャラクターのリアクション確認ができ、より『メタルスラッグ』の魅力にとりつかれていくでしょう。

メタルスラッグのステージ1の写真その1ですメタルスラッグのステージ1の写真その2です
▲背景の描きこみが緻密なだけでもすごいのに、射撃時の閃光で周辺の明るさも変わる演出の細かさ!

メタルスラッグのステージ3の写真です
▲爆破シーンの演出で敵兵士が画面のこちらにむかって飛んでくることも…。細かい仕掛けがあちこちにあり、何度遊んでも楽しいです。

家庭用ロムカートリッジがすさまじいプレミア価格になっているのは、流通量が少ないといった物理的なことだけでなく、純粋にゲームとしてものすごく面白いことが大きく関わっていると個人的には思っています。
(ちなみに、自分も発売時に買ってはいたんですが、業務用のMVSカートリッジも入手していて「MVSのほうが扱いやすいなー」と、大してお金に困っているわけでもないのに1998年ごろに中古ショップで売ってしまったんですよね。たしか12万ちょっとだったと思います。自分が生きてきた中でいろいろと判断ミスをやらかしてますが、これはけっこうデカいですね…)

…と、ここまではわりとフツーのお話。
BEEPらしく、もうちょっと突っ込んだことを書いてみましょう(笑)。

NAZCA CORPORATIONには元アイレムのスタッフが関わっていたということで、何か『メタルスラッグ』につながるアイレムのゲームはあったかな…? と探してみると、やっぱりありますね。
アーケードゲームでほぼ最後のほうに出していた『ジオストーム』。
これがものすごく『メタルスラッグ』の原型っぽく、タイトル画面の雰囲気やゲーム内容も、ほぼ同じような感じです。

とはいえ、『ジオストーム』は当時ほとんど出荷されず、レア基板になっているので、Youtubeなどで動画を見るくらいでいいかと思います。
実際に遊ぶとそんなに面白くないんですよね…(苦笑)。

これは推測ですが、かなり急いで完成させたようで(なにしろゲームをクリアしてもエンディングが出ない)、ゲームバランスの調整や細かいなどを詰め切れなかったのではないでしょうか。

…で、この『ジオストーム』はさかのぼると『ガンフォース』というゲームが1作目にあたるんですね(『ジオストーム』の海外でのタイトルは『GUN FORCE 2』ですし)。
これはそこまでめずらしい基板でもなく、スーパーファミコンにも移植されているので、わりと遊ぶ機会はあると思います。
『ジオストーム』の前に出ていることもあり、さらにパッとしないゲームなんですが、逆に考えると、『メタルスラッグ』は過去の経験をもとに面白いところを徹底的に昇華したともいえるワケですね。
マニアックに『メタルスラッグ』シリーズを極めたい人には『ガンフォース』『ジオストーム』の2タイトルもおさえておくといいかもしれません。

最後に宣伝(笑)。

BEEPではあらゆる年代のゲーム機本体やゲームソフトを買取いたしております。
もちろん、ネオジオも積極的に求めています!
自分を含め、専門知識の豊富なスタッフが迅速・丁寧で納得してもらえる査定を心がけています。

ネオジオであれば、アーケードはもちろん、家庭用ロムカートリッジ、ネオジオCD、ネオジオポケット、関連グッズ(サントラCD、雑誌など)、そのほかなんでもお任せください。

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