お久しぶりのBEEP修理班です。
今回はお客様から買取をした「FUJITSU MICRO 7」通称FM-7を修理していきます。
FM-7が発売されたのは1982年11月8日。開発時の名称がFM-8Jr.(ジュニア)だったことからもわかるとおり、FM-8の廉価モデルとして位置づけられていました。
タモリ氏をイメージキャラクターに起用していたのもインパクトがありましたが、なんといっても12万6千円の低価格(当時の主流モデルの相場が20万~30万円)に対しての高機能が魅力的でした。このFM-7がヒットしたことで、富士通はNECとシャープに並ぶ「パソコン御三家」としての地位を築くことになります。
さて、それでは修理にとりかかりましょう。
症状としては、起動は問題ないがキーの反応が良くないとのこと、実際に動作確認をしてみると14カ所のキー不良が判明しました。
ここまで多いとどこが悪いキーなのかわからなくなるので、動作確認の時に反応が悪いキーにマスキングテープを貼って目印を付けていきます。
キー不良の原因としては、スイッチの劣化、ハンダクラック、基板の損傷などがあります。
実際に症状をみると強くキーを押したり、連打をすると反応する箇所もありましたので、基板の損傷でなはく、スイッチの劣化もしくはハンダクラックが原因だと思われます。
スイッチの劣化の場合は通常、スイッチ交換をするのが最適です。
ただ、このキーボード用のスイッチは特殊なもので、純正品を探しましたが、弊店では見つけられませんでした。
ですので、今回はスイッチの接点クリーニングを行っていきます。
接点クリーニングとは、スイッチ内部の導通する部分を洗浄することです。
「接点クリーニング?なんか難しそう...」
と思うかもしれませんが作業自体は至って簡単です。
力に自信がある方は指の力だけで外せるかもしれませんが、私のような非力な凡人は、文明の利器を使います。
キートップ引抜工具はAmazonなどの通販サイトでも売っていて、安いものは数百円程度で買えます。
引抜工具を使いキートップを外すとスイッチがむき出しになります。
注入した後はスイッチを連打したり、グリグリと押し込んで洗浄剤を内部に浸透させます。
接点洗浄剤は揮発性が高くすぐ乾くので、基板やICなどの部品についても悪影響を及ぼすことはありません。
キー不良は14カ所ありますので、この作業をひたすら繰り返していきます。
14カ所の接点クリーニングが終わったので、よ~く乾かしてから動作確認をしていきます。
さすがに14カ所もグリグリ連打を繰り返すと指が痛くなります(笑)。
動作確認は同じキーを3回押込み、抜けがないかを確認していきます。
無事にすべてのキーが復活しました。
死にかけていたFM-7に魂を吹き込みました!(ただ、洗浄剤をかけてグリグリしただけ)
この後、とくに動作に問題はありませんがハンダクラックがないかキーボードの基板を確認していきます。接点クリーニングをする前に最初に基板の確認をしても良いです。
分解は簡単でまず、マイクロ7と書いてあるフタを取り外します。ツメが5カ所ありますので割れないようにゆっくり慎重に外します。
フタを取り外すと+ネジが2カ所見えてきます。このネジを2つ外します。
本体カバーが外れますので上側のツメ2つを外して開くようにカバーを起こします。
下側も3つツメが引っかかっていますので割らないようにゆっくり外します。
キーボード自体はコネクタ1つで繋がっていますので本体から簡単に分離できます。
基板を入念に確認していきます。今回はとくにハンダクラックは見当たりませんでしたので内部の掃除をして戻していきます。
組立て後は再度、動作確認をして問題なかったので修理は完了です。
今回の故障は接点クリーニングで直りましたので非常に簡単でした。
修理をしたことがない方でも挑戦しやすい作業だと思いますが、道具を揃えるのが大変だったり、そもそも時間がないという方もいらっしゃると思います。
そんな方のためにBEEPではFUJITSU MICRO 7をはじめ、レトロハードの修理を受け付けていますので是非お気軽にご相談ください。