The 3DO Companyが規格を提唱し、電機メーカーがハードウェアを製造するという、かつてのMSXのようなスタイルで販売された3DO。
日本では1994年の3月20日に発売され、マルチメディアマシンの嚆矢として期待されてはいたものの、ゲーム市場において成功を収めることは叶いませんでした。ハードウェア供給に加わったメーカーが少なかった(そのため、本体も高価格だった)ことや、ほどなく発売されたセガサターンやプレイステーションといったライバル機の勢いが強烈だったことなど、不運が重なってしまったのが大きいでしょう。しかし、飯野健司氏や小島秀夫氏といった優れたクリエイターの代表作がリリースされたハードで(のちに他機種への移植があるとはいえ)、国内の発売タイトルも200本以上ある、なかなか侮れない存在なのです。
今回、富山県富山市より買取いたしましたのは海外タイトルも含めて約100本の3DOソフトです。
3DOでこれだけそろえている人はめずらしく、BEEPとしてもこうした買取はめったにないので、いくつかピックアップ紹介していきますね。
目次
Dの食卓
飯野賢治氏が手がけた3Dアドベンチャーゲーム。当時はなじみの薄かった3DCGのムービーをふんだんに使い、映画的な演出手法も巧みに採り入れた先進性は発売前から注目されていました。マルチメディアグランプリ’95では通商産業大臣賞も受賞しており、飯野氏といったらこのタイトルをまっ先に思いつく人も多いでしょう。
最初のリリース時には収録できなかったシーンや新規で作成されたイベントなどを加えた“完全版”ともいえる『ディレクターズカット版』もあります。当時はボリュームアップ&プライスダウンという形で発売されましたが、今ではこちらのほうが価値が高いです。
チキチキマシン猛レース
『チキチキマシン猛レース』は1969年にアメリカのハンナ・バーベラ・プロダクションによって制作されたアニメで、日本ではじめて放映されたのは1970年でした。個性的なキャラクターたちの人気が高く、2017年にはリブート版も制作されたほどです。この3DO版は、ハイパーメディアクリエイター・高城剛氏が率いるフューチャー・パイレーツが手がけており、3DOの機能を活かしたフル3DCGの画面が見どころ。日本で放送された仕様(テーマソングや吹き替え声優など)にもこだわりがあり、完全に日本国内向けのタイトルだったことも驚きます(元はアメリカのアニメなのに!)。
スーパーストリートファイターIIX
『ストリートファイターII』シリーズの世界的なヒットは改めて説明するまでもないでしょう。そのシリーズ総決算として打ち出された『スーパーストリートファイターIIX』は当時、3DOにしか移植されませんでした。オリジナルのアーケード版リリースから8か月ほど後に発売というスピード展開も異例で、松下電器がカプコンに相当なロイヤリティを支払ったのではないかと言われています(元カプコンの開発責任者だった岡本吉起氏も自身のYouTubeチャンネルでそのことにふれていたりします)。なお、制作にはカプコンが直接あたっており、移植度は極めて高く、このソフトのために3DOを買ったファンも少なくありません。
美少女戦士セーラームーンS
1990年代に少女漫画とアニメの両方で大ヒットした『美少女戦士セーラームーン』は今でも世界的にファンの多い作品です。これはアニメの第3期を題材にした対戦格闘ゲームとなっています。正直なところ、ゲームの仕上がりはイマイチで、3DCGに置き換えられたアニメのオープニングも微妙なデキです。それでも発売初週に1万本以上売れたそうで、人気作のネームバリューを思い知らされますね。
幽遊白書
『幽遊白書』は先に取り上げた『セーラームーン』とほぼ同時期に展開していた少年漫画の大ヒット作品です(余談ながら、後に作者同士が結婚するのはなんとも不思議な巡りあわせですよね…)。アニメ化もされ、ゲームも多機種で展開していたのですが、ファミコンではバンダイ、スーパーファミコンではナムコ、メガドライブではセガとトレジャー…といったように、メーカーはバラバラで、この3DO版はトミーが発売しています(ちなみに、トミーはゲームボーイ版も手がけています)。対戦格闘ゲームではあるものの、途中にムービーシーンを多く挿入し、1人で遊ぶストーリーモードを充実させているのが特徴です。
ポリスノーツ
『メタルギア』や『スナッチャー』でクリエイターとしての名を広めた小島秀夫氏。彼がみずから手がけるアドベンチャーゲームの集大成として制作したのがこの『ポリスノーツ』です。先行してPC-9821版がリリースされていましたが、当時のパソコンは今よりもはるかに高額で、気軽に手を出せるシロモノではありませんでした。先行でプロモーションソフトである『~パイロットディスク』も発売され、ファンの心意気が試されるような展開もありましたが(これはPCエンジンの『スナッチャー』でも同様でしたね)、無事に発売された本編はアニメの追加や新規BGMなどで充実しており、このソフトのためだけに3DO本体を買った人を満足させたと思います。
ロードラッシュ
The 3DO Companyを設立したトリップ・ホーキンス氏はエレクトロニック・アーツ創設メンバーでもありました。そうした関係で、エレクトロニック・アーツは3DO始動時からサードパーティーに加わっており、3DOの初期はもちろん、末期までソフト供給を続けています。この『ロードラッシュ』は初期のタイトルのひとつです。パッケージアートからもわかるように、バイクレースと暴力を組み合わせたトンデモないゲームで、ハチャメチャな爽快感が味わえます。CD-ROMメディアのセガサターンやプレイステーションでもほぼ同時にリリースしているものの、この3DO版が一番遊びやすいという評判です。
3DO MAGAZINE 付録ROM
3DO唯一の専門誌として、徳間書店インターメディアが刊行していた「3DO MAGAZINE」。3DOの日本国内の展開がほぼ終わりになる1996年半ばまで続いていたので、ユーザーにとっては心強い存在だったと思います。付録のCD-ROMには発売予定のタイトルの体験版が何本か収録されており、現在のようなデータ配信がなかった時代にはとても便利なものでした。
BEEPでは任天堂のような王道ハードから、今回の3DOのようなマニアックなハードまで、幅広く買取を募集しています。
対応ゲームソフトはもちろん、関連グッズ、書籍・雑誌や販促アイテムも大歓迎!
買取に関するご相談やご質問も、いつでも受け付けています。
お気軽にご連絡くださいませ。
どうぞよろしくお願いいたします。