80年代の8ビットパソコンの「御三家」は時期によって変わります。ただ、その中でも市場の大きさや現役期間の長さといった総合力の強さではNECのPC-8801シリーズがひとつ上の存在ではないでしょうか。
今回、石川県金沢市のお客様からお譲りいただいたコレクションは80年代後半の黄金期ともいえるタイトルがそろっていて、当時を知る人には懐かしく、またこれからレトロPCゲームに触れる人にオススメしやすいラインナップでした。
『エメラルドドラゴン』
オープニングだけでなく、ストーリー進行中にもふんだんにビジュアルシーンを取り入れ、物語性を強く打ち出したRPGの先駆者的存在がこの『エメラルドドラゴン』です。フロッピーディスクの構成にオープニングディスク、エンディングディスク、ビジュアルディスクが入っていることからも力の入れ方が並大抵でないのがわかりますね。開発は『サバッシュ』を手がけたグロ―ディアで、『サバッシュ』を踏襲しつつ、より遊びやすいゲームを意識しています。物語を進めるヒントを教えてくれる「相談」コマンドやアイテムによるマップ表示といったゲーム内の便利機能だけでなく、セーブできるデータ数も最大9個と多めでユーザーフレンドリーな設計です。
『BURAI』上巻
シナリオ・ゲームデザインは『ラストハルマゲドン』の飯島健男氏、キャラクターデザイン・原画はTVアニメ『聖闘士聖矢』で荒木伸吾氏・姫野美智氏、音楽は女性ロックバンドのSHOW-YAと、当時の各業界で第一線を張っていたクリエイターたちが集結して制作することになった豪華なタイトルです。元々は1本のゲームになる予定だったもののシナリオのスケールが大きく、上巻・下巻の2部構成になった超大作でもあります。9801版やMSX版、また家庭用への移植はこの8801版をベースに展開されているため、『BURAI』の原点ともいえる存在です(ただ、残念なことに下巻は8801では発売されませんでした…)。一見するとオーソドックスなRPGのようでいて、各章を自由に選んで進めていけるシナリオ構成や、能力値を数字ではなくグラフィックであらわす戦闘システムなど、意欲的な取り組みをしており、制作スタッフ以外の部分でもゲーム業界にあたえた影響は少なからずあるでしょう。
『サーク』
『ミステリーハウス』『は~りぃふぉっくす』『めぞん一刻~完結編~』など、アドベンチャーゲームのメーカーとしてのイメージが強かったマイクロキャビンが出したアクションRPGです。ファンタジーの世界を舞台にしたものでは日本ファルコムの『イース』がすでに成功を収めていましたが、独自開発の「VR(Visual Representation)システム」によって高低差や奥行きのあるマップ表現を生み出し、オリジナリティを確立しました。音楽やシナリオなども含めて全体の評価が高く、後に看板シリーズに成長していくのはみなさんもご存じのとおりです。
『スタートレーダー』
『イースII』の大ヒットで“日本ファルコムといったらアクションRPG”というイメージを強固にした後にリリースされた本作は、シューティングにAVGとRPGの要素を組み込んだ野心作です。プログラムはクリスタルソフトで『夢幻の心臓』シリーズを手がけたプログラマーの富一成氏で、これまたRPGのイメージが強い人物なのが面白いですね。ただ、富氏は1988年発売のムック『ファルコムバイブル』で「シューティングゲームを作ってみたい」というコメントをしており、それが形になったのかと考えると当時の日本ファルコムの社風もうかがえるようで興味深いです。ちなみに、後に『ゼノサーガ』シリーズを手がける高橋哲哉氏もグラフィックで参加しています。
『ミスティ・ブルー』
エニックスといえば、ミステリーの『ポートピア連続殺人事件』やSFの『ジーザス』など、アドベンチャーも多くの傑作を出してきたメーカーで、この『ミスティ・ブルー』は恋愛と殺人事件がテーマ。当時のTVドラマの流行をかなり意識した設定になっています。キャラクターデザインはアニメーターの恩田尚之氏が担当しており、スタイリッシュなビジュアルはかなり印象的です。サウンドを古代祐三氏が手がけているのも特徴で、パッケージには8cmシングルCDが同梱されていることからも楽曲を推しているのがわかります。本作発売の1990年以降、エニックスの活動は家庭用ゲーム機が主軸になり、アドベンチャーゲームからも離れていってしまうのですが、もっといろいろな趣向の物語を期待していた人も多かったのではないでしょうか?
『サイオブレード』
『DAIVA』や『ハイドライド』シリーズで人気のメーカー、T&Eソフトの近未来SFアドベンチャーゲームです。すべてのシーンにアニメーション処理があるのが当時のハードスペックでは驚異的で、技術力の高さが光っています。通常のコマンド選択式ではなく、画面内の対象物を選択してから行動を決めるタイプのシステムであることも先進的です。シナリオに関しても、立場の異なる2人の主人公の話が同時に進行していき、奥行きのある物語を作りあげています。後年になってメガドライブへ移植されていますが、一部のストーリーが省略されているため、物語をしっかり楽しむならPC版がオススメです。
『タコタコ』
テクノポリスが美少女ゲームに強いというイメージは80年代末期からで、その前まではパソコン入門者向け雑誌で、投稿プログラム紹介もあったほどでした(いわくつきの『ナウシカ』ゲーム3部作もプログラムコンテストから生まれたものです)。テクノポリスソフトでリリースしていたゲームは初期から『お嬢様くらぶ』『おとめぱーてぃ』など、美少女路線が強い傾向はあるものの、きわめてスタンダードなゲームもあり、この『タコタコ』もコミカルなキャラクターのパズルアクションです。固定画面式の手堅い内容で、ゲームの出来もいいのですが、美少女の魅力には敵わなかったのか出回りが少なく、パッケージや説明書がそろっているものはまず見かけません。
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