今回は、兵庫県姫路市のお客様より依頼された『PCエンジンDuo-R』のオーバーホールをしていきます。
PCエンジンDuo-Rは、1991年に発売されたPCエンジンDuoの廉価版として、1993年に登場しました。
本体カラーが黒から白に変わり、本体の形状もやや丸みを帯びたデザインになっているのが特徴。
ネーミングの【R】は「丸みのある」「角のない」といった意味を持つ「Round」の頭文字をとったということです。
メーカー希望小売価格は39,800円で、Duoより2万円下がったぶん、ヘッドホン端子やバッテリー端子が削られています。
ただ、そのほかの性能面はDuoと変わることがなく、コストパフォーマンスはかなりよいですね。
さて、今回ご依頼の内容は、動作する本体のオーバーホールになります。
故障はしていないので、予防・メンテナンス整備のご依頼です。
Duo-RやDuo-RXは、使われている電解コンデンサの種類がDuoとは違うため、故障している本体は少ないと思われます。
(Duoに使われているコンデンサは、表面実装タイプのものが多く使われており、ラジアルタイプのコンデンサに比べて、経年で液漏れしやすい傾向があります。
そのため、Duoはコンデンサの液漏れにより、故障が起きる割合が高いようです)
それではオーバーホールを始めていきます。
まずは背面のネジを外し、カバーを外していきます。
カバーに使われているネジは特殊ネジで、PCエンジン系ではよく使われています。
本体ウラ面。じつはDuo-Rからは「NEC」のロゴマークのデザインも変わっていたりします。
これが本体カバーに使われているネジです。専用ドライバーでないと回せません。
続いて、CDドライブのギア部分をクリーニングします。
かなり多めにグリスが塗ってあるので、綿棒で乾拭きして余分なグリスを除去します。
再度グリスアップせずに乾拭きするだけでOKです。
カバーをはずすとちょっとわかりにくいですが、右上にCDドライブがあります。
次はCDドライブを外して、そのままメイン基板を外して、半田クラックが起こしやすい箇所を予防・補修していきます。
CDドライブをはずした本体基板です。
半田補修の該当箇所は、AV出力端子・AC接続端子・コントローラ接続端子部分となります。
コントローラー接続端子部です。わりと配線が寄っているので、ショートさせないように気をつけます。
AV接続端子部です。コントローラー端子よりも配線が少ないぶん、簡単に終わります。
AC接続端子部分です。ここが一番簡単なので、最初に手をつけてもいいかもしれません。
次に、電気二重層コンデンサの交換をします。
これはデータのバックアップをしている電池となりますので、故障していると本体メモリにセーブが保存できないなどの症状が出ます。
定期的に通電してあげていれば問題ないのですが、やはり何十年も前のハードですので、
押し入れなどで寝かせているうちに寿命を迎えていることもあるみたいです。
オリジナルのパーツには「NEC」のロゴがプリントされています。ここは旧タイプのデザインですね。
そのまま、電解コンデンサの交換を進めていきます。
コンデンサの使用量はけっこう多いです。ひたすら交換を続けていきます。
交換が終わったら、後は組み立てて元に戻します。
最後に動作確認していきます。
まずはHuカードから、ソフトは『ドラゴンスピリット』です。
問題なく起動でき、ゲームもできました。
音も正常に出力されております。
続いて、CDゲームも動作確認します。
使用するのは『ロードス島戦記』です。
CDも読み込みOKでした。
最後に本体メモリの動作確認します。
使用するソフトは『ぷよぷよ』を使います。
このソフトは起動時点で本体メモリにセーブデータが作られるので、起動したらリセットしてメモリをチェックします。
チェックしてセーブデータがあることを確認したら電源を切りしばらく放置します。
もしバックアップ電池が正常であれば、次に電源を入れたときにデータが残っているはずなので、その確認です。
バックアップも問題有りませんので、以上でオーバーホール完了となります。
今回のオーバーホールは、故障していた本体ではなかったので、スムーズに作業ができました。
電解コンデンサの交換作業は、それほど難しくはないので、Duo-Rをお持ちの方は故障する前にメンテナンス・オーバーホールを検討してみても良いかと思います。
もしご自身でメンテナンスするのが不安な方、BEEPでは今回のPCエンジン Duo-Rをはじめ、レトロゲームハードの修理を受け付けていますのでお気軽にご依頼ください。