先日、BEEPより発売された『コットン リブート!』、みなさまお楽しみいただいてますでしょうか?(宣伝)
サクセスが開発した『コットン』は“元祖魔女っ娘シューティング”として、セガがアーケードで1991年にリリースし、さまざまな家庭用ゲーム機にも展開していたので、なかなかの知名度なんじゃないかと思います。
いっぽうで、ほぼ同時(コットンより半年ほど後)にPCエンジンで発売された魔女っ娘シューティングがあります。
それが今回、愛知県犬山市から買取させていただいた『マジカルチェイス』です。
発売当時からプレミアソフトだったので、レトロゲーム好きなら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
なぜ最初からプレミアソフトなのかといえば、いくつかの不幸な出来事が重なって、流通量が少ないというのが大きくあります。
メーカーのパルソフトが小さな会社だったため、リリース直後の流通量が多くありませんでした。
加えて、プレイした人の評価が雑誌や口コミで広まるころにはパルソフトは倒産しており、再販も望めないという状況。
需要に供給が追いつかなければ、プレミア化するのは避けられない流れですね。
奇跡的に、当時の専門誌「PC Engine FAN」で受注販売も行われたのですが、やはり一般流通ではなかったせいか、あまり出回らずに終わってしまいました。
パルソフト発売版とPC Engine FAN発売版はケースのデザインなどが微妙に違いますが、結果としてどちらもプレミア化してしまいます。
ご参考までに、上の写真がパルソフト発売版、下の写真がPC Engine FAN発売版のパッケージです。じつは説明書も裏表紙のデザインがことなっているのですが、Huカードだけは違いがなかったりします。
…と、これぐらいのことなら、ほかのプレミアソフトでもありそうな話で終わってしまうのですが、『マジカルチェイス』にはさらにプレミアに拍車をかけることがあります。
それは、このゲームを開発していたのがクエストだったことです。
のちにスーパーファミコンの『伝説のオウガバトル』『タクティクスオウガ』を開発したところといえば、非常にわかりやすいですよね。
シミュレーションRPGとして大ヒットしたこの2作、スタッフも松野泰己氏、皆川裕史氏、吉田明彦氏、崎元 仁氏、岩田匡治氏など、まさに錚々たる構成。彼らが後に関わるタイトルも『ファイナルファンタジーXII』や『ニーア オートマタ』など、やはり世界的大ヒット作品です。そんなスタッフたちが名を響かせる前につくりあげていた良作ということで、最近ではますますプレミア化している状態です。
ゲームとしては、わりとオーソドックスなスタイルの横スクロールシューティングですが、なんといっても見た目の良さがすばらしいですね。
タイトル画面からしてポップでファンシーな色調でまとめられていて、30年以上経った現在でもドットのサイズのような細かい部分をのぞけば古さを感じさせません。
ゲームの難易度選択も「らくらく」「わくわく」「どきどき」となっていて、ゲームの世界観を大切にした言葉づかいがステキです。
こうした全体のつくりが非常に丁寧で、音楽にしてもただ曲がいいだけでなく、楽曲の尺がステージの長さに合っているなど演出が巧みで、プレイヤーは知らず知らずのうちに『マジカルチェイス』の世界に引き込まれてしまいます。
パワーアップアイテムはステージ中のショップで買うという、セガの『ファンタジーゾーン』やカプコンの『ロストワールド』と同じスタイルです。
注目ポイントはこのショップ店員のカボチャ頭のキャラクター。『オウガバトル』のプレイヤーならすぐわかる「パンプキンヘッド」ですね。じつは初登場はこの作品でした。
こういう後の作品とのつながりも、プレミアの理由のひとつに挙げられるでしょう。
(ちなみに『オウガバトル』に登場するアイテムにもこの作品由来のものがあったりします)
発売当時からプレミアソフトだったことは先に書いたとおりですが、PCエンジンがゲーム機としては新作もリリースされなくなった2000年、突如としてゲームボーイカラー版がマイクロキャビンから発売されます。
ゲーム機の性能が違うため、完全移植というわけにはいかず、グラフィックやサウンドなどにアレンジがあるものの、全体的によくまとまった仕上がりになっています。
ただ、こちらもあまりに不意のリリースだったため、あまり知られないうちにゲームボーイアドバンスの時代(2001年)がやってきてしまい、このゲームボーイ版さえもプレミアソフトになってしまいます。
ゲーム内容のすばらしさとは対象的に、発売タイミングがとことん合わない不思議な存在です。
ちなみに、ショップ店員はパンプキンヘッドではなく、かわいい女の子に変わっています。これはこれでカワイイのでOK!(笑)
最近では過去の名作がダウンロード販売で復刻されることが増えてきているので、いつか『マジカルチェイス』にもそういう機会が訪れてほしいものですね。
(そうなったらオリジナルのプレミアがさらに高まる可能性もあって悩ましいところではありますが…)
BEEPではあらゆるゲーム機の本体・ソフトを買い取りさせていただいております。
プレミアソフトにも精通したスタッフで、ご安心とご満足の査定を心がけています。
どうぞよろしくお願いいたします。