今回は、広島県広島市のお客様より依頼されたワンダースワンの修理をしていきます。
ワンダースワンは、1999年にバンダイから発売された携帯型ゲーム機です。
開発には横井軍平氏がアドバイザーとして関わっています。
横井氏は任天堂でゲーム&ウオッチやゲームボーイを手掛けた人物で、ハイテクよりもローテクを活用した開発設計スタイルで、“枯れた技術の水平思考”を信条としていました。
単3電池1本で動く省電力な作りや薄くスリムなボディなどにそういうヨコイズムがしっかりと反映されているのがわかりますね。
さて、今回のご依頼内容は液晶の偏光板の交換です。 確かに液晶に染みができています。
動作確認をしようと電池を入れる部分を取り外したところ、ガッツリ緑青が付いていました。
これは長年電池を入れっぱなしにしていたことで過放電となり、電池から電解液が漏れてしまったせいと思われます。
あとでちゃんとクリーニングしますが、とりあえず動作確認したいので軽く緑青を取って電池を入れましたが通電しませんでした…。
漏れた電解液でどこかやられてるのかもしれません。
仕方ないので、分解して修理を進めていきます。
まず、背面側のトルクスネジを6本外すと裏カバーが外せます。
カバーが外せたら、基板と液晶をつないでいるフラットケーブルを外します。
これで基板を持ち上げれば、基板が外れます。
基板を確認したところ、緑青が基板全体に広がっていました。
コレは基板自体も壊れてしまっている可能性が高いため、先にできる限りクリーニングして通電させてみます。
とりあえずキレイにしてみましたが、結果、通電はしましたがゲームは起動しない、ボタンは殆ど効かないという状態でした。
こうなると程度が良い基板と交換した方が早いです。
ちょうど部品取り用で、基板の状態がキレイな本体がありましたのでこちらと入れ替えます。
もちろん接点などはクリーニングしています。
入れ替えて動作確認すると、問題なく動いたので偏光板の交換に移っていきます。
まず、フロントカバーからボタン類を外します。
あとで拭いてキレイにしましょう。
次に、液晶を外します。
液晶を外すときは本体を軽く捻ってやると、ちょっと剥がれてきます。
指で剥がせるぐらい浮いてきたら気をつけて外します。
液晶が取れたら、今度は偏光板を剥がします。
偏光板は液晶に貼り付けられているので、端から慎重に攻めていきます。
この作業が1番気をつけなければいけません。
もし液晶が割れてしまったら直せませんので。
剥がれたら液晶に残っている接着剤?みたいなものを剥離剤を使って取り除きます。
次は仮組みして交換する偏光板の向きを調整します。
調整した向きで、剥がした偏光板と同じ大きさで切り出します。
切り出した偏光板は液晶に貼り付けはしません。
フロントカバーの内側で液晶と挟み込む感じになります。
あとは組み上げて動作確認です。
ここで気をつける箇所は、液晶の角度です。
取り付けが曲がっていると、画面が傾いてしまいます。
細かい調整が必要な作業ですが、問題なく表示できて遊べてるようになりました。
これで修理は完了となります。
今回は、偏光板の交換と基板の交換・内部のクリーニング・ボタン接点のクリーニングと比較的簡単な作業となりました。
ですが、基板交換となるとドナーの存在が必要となるので交換部品がなければ修理は不可能でしょう。
やはりゲームをやらない時は電池を抜いて保管するのが良いでしょう。
BEEPでは今回のワンダースワンをはじめ、レトロゲームハードの修理を受け付けていますので是非お気軽にご相談ください。